魚がぐるぐる回り続けて死ぬ謎の奇病、ついに原因を特定、米フロリダ沖の絶滅危惧種に打撃
保護にとって大きな後退
スモールトゥース・ソーフィッシュは、米国絶滅危惧種法(ESA)の下で2003年から絶滅危惧種に指定されている。沿岸の開発や乱獲により、その数は減っている。現在ではバハマと米国に2つの群れが残っているだけで、米国の群れの方が大きい。 2023年、科学者たちは州内水域での刺し網の使用を禁止するなど、ソーフィッシュの保護活動20周年を祝ったばかりだと、米フロリダ州立大学で、スモールトゥース・ソーフィッシュを研究している魚類生態学者ディーン・グラブス氏は言う。 今回の出来事がソーフィッシュに与える長期的な影響は、少なくとも2~3年はわからないだろうとグラブス氏は言う。 「私の直感では……これはかなり大きな後退です。これが2003年にソーフィッシュが絶滅危惧種に指定される前の状況に戻るほどの後退なのかはわかりません」
希望の兆し
この調査では、フロリダ・キーズ諸島にとって新たな毒素が発見されるなど、他にも興味深い発見があったとロバートソン氏は言う。この毒素はヨーロッパの藻類のものだが、ロバートソン氏らが扱ったサンプルからはその痕跡は検出されなかった。「まだまだこの先やるべきことが山積みです」 前例のない出来事は不運だったが、ロバートソン氏にとっては希望の兆しもある。 「多くの科学者が集まり、データを共有してフロリダ・キーズ諸島の生態系やその健全性について学ぶという、これほど集中的な科学調査が行われたのは今回が初めてです」
文=Bethany Augliere/訳=杉元拓斗