つきまとう死神VS死の危機を回避する主人公!?すべての謎が解けたとき「すげーいい話」「感動もの」の声【作者に聞く】
「サチちゃん、俺たちさ…ずっと一緒だよね?」。そんな恋人たちの甘いセリフからこの物語はスタートする。しかし、サチが恋人に返事をしても、その言葉は相手に届かない。プロローグとなるこのシーンをよく覚えておいてほしい。終盤にこのシーンは再度登場し、そのとき初めてサチの言葉が届かなかった真意を知るところとなる。 【漫画】本編を読む 恋人の葬式に列席するサチの隣には、常に死神がつきまとっていた。サチは死神に言う、「返してくんない?あたしのたっくん」。しかし、死神から返ってきたのは意外な言葉だった。「私がお連れするのはアナタの魂ですよ」と…。 自分の死期が近いことを知り、サチは「…よかった」と微笑む。「それでいつなん?あたしが死ぬの」と聞くのだが、死神は抽象的なことを答えるのみ。サチはその後、銃撃事件の現場に居合わせたり、トラックに轢かれそうになったり、爆弾事件に巻き込まれたり、これまでの日常では経験し得なかった“死と隣り合わせ”の場面に次々と遭遇するのだが、すべて回避する。一体なぜ…? 本作を描いたのは、タママ八月(@ball_8t)さん。本作「エピローグで息をした。」は初めて描いた漫画作品で、本作はLINEマンガへのアップロード時に月例賞を受賞。現在は、動画イラストの提供などをしながら、先月2024年12月には自身初の商業漫画「僕を嫌いな君のこと」が漫画アプリ「コミックFUZ」(芳文社)で配信されたばかり。2024年に勤めていた会社を退職し、これから本格的に活動していく新進気鋭の漫画家兼イラストレーターである。本作についてタママ八月さんに話を聞いてみた。 ――「エピローグで息をした。」というタイトルに込めた想いとは…? エピローグは物語の結びではあるけれど、次の物語への旅立ちでもあるようで、そこを死後に準えました。また、そこから始まる物語は漫画だからこそ描ける、死後にも希望を表現できればと思いました。 ――本作の中で、著者ならではのこだわりがあれば教えてください。 主人公のサチのキャラクターはお気に入りです。20代後半~30代前半くらいのイメージで描きました。平成ギャルマインドの明るさと、頼もしさを持ちつつも、そのまま大人になり、でもどこか大人になりきれず、パワフルだけど少し寂しい印象で描きました。 ――漫画アプリ「コミックFUZ」(芳文社)で新作が配信されたそうですね。 はい!「僕を嫌いな君のこと」というタイトルで先月(2024年12月)から配信されました。青春ヒューマンドラマです。これまた不器用な男女が登場します。強気な女子高生・リサの、実はか弱い部分と、融通の効かない男子校生・東(あずま)の繊細な部分が、少しずつ交差するお話です。描いた張本人の私が作品を上手に紹介できず、今“ぐぬぬ…”となっています。初めてお仕事として描いた作品で、絵も力一杯描きましたので、読んでもらえるとうれしいです。 本作の中で死神は、その恐ろしい風貌とは異なり、終始おだやかで紳士的である。活発でヤンチャなヒロインに引っかき回される様子が少し不憫になるくらいに…。そんな死神が終盤、ヒロインのことを「人の皮を被った悪魔かと思いました」と目をひん剥いて感情を吐露するシーンは滑稽である。すべてを思い出したヒロインと死神のラストシーンは、きっと心洗われる気持ちになるだろう。 取材協力:タママ八月(@ball_8t)