天王寺動物園がエンリッチメント大賞 工夫の取り組み評価
天王寺動物園がエンリッチメント大賞 工夫の取り組み評価 THEPAGE大阪
これからも、あの手この手でがんばります──。NPO法人 市民ZOOネットワークは6日、大阪市天王寺区にある大阪市天王寺動物園が、飼育する動物たちの環境を豊かにする取り組みを行う動物園・水族館に贈る「エンリッチメント大賞」を受賞したと発表した。同賞受賞に同園の牧慎一郎園長は「とても感激しています。動物をいかに健康に幸せに飼育し、なおかつお客さんにも喜んでいただく、それを両立していきたい」と話している。
活動量増やすためエサの与え方も工夫
動物園などの動物たちは、限られた範囲の環境で飼育され、同じところを行き来するなど動きも単純化する傾向がある。同大賞は、そうした動物の幸せを高めるために、運動不足解消など様々な工夫に取り組む動物園や水族館に贈られるもので、同ネットワークによると、全国から33件の取り組みに対して42通の応募があったという。 その中から同園などを含む10件が1次審査を通過。10月10日に通過した各地の動物園などで2次審査が行われ、その中から天王寺動物園の「多様な動物種での環境エンリッチメント」が大賞に選ばれたという。 同園では、展示スペース死角部分で休憩しがちなクロサイを、水をかけるなど圧力をかけて展示スペースへ見えるエリアに誘導するのではなく、クロサイが自発的に見えるエリアへ移動するよう、エサの時間や配置場所、与え方を工夫した結果、自発的に動くようになったという。 ムフロンなども退屈な時間が減らす方法を考え、ゆすったり転がしたりするとエサが手に入る「じゃらじゃらボトル」などを設置。すると、普通にエサを与える時よりも活動量が増え、採食時間の延長にもつながったという。
飼育員「似たような取り組みがあちこちに広がれば」
また、ホッキョクグマにも季節によって展示時間やエサの量を変化させることに努めた結果、同じ行動を繰り返すことが軽減し、繁殖にも成功。今年の春に赤ちゃんが公開されると、多くの来園者でにぎわいを見せることにもつながった。 「このやり方は特に目新しいものではなく、むしろどちらかというとオーソドックスなものだと思います」と話すのは同園の油家謙二さん。 「それで大賞をいただくのは少し気が引けますが、エンリッチメントはオリジナリティーを競うものではなく、当該動物にとって有効かどうかが最も重要。似たような取り組みがあちこちに広がり、数年後には一般的なことになればいいなと思います」とコメントを寄せた。