2000種ずらり最適を提案「ボタン変えて服を楽しんで」 洋裁材料店店主・清水清子さん TOKYOまち・ひと物語
経営は厳しかったが、店舗を移転するなどして営業を続けるうちに、新たな需要を開拓。ともに店を切り盛りする斎藤さんの発案で始めたSNS(交流サイト)を使ったPRも功を奏し、北海道や鹿児島といった遠方の地域から訪れる客も増えた。
■不変の魅力
最近、清水さんはある変化を感じている。それは値段を気にする客がほとんどいなくなったということだ。かつては、値段を聞いて購入をやめる客も珍しくなかったが、最近はこうしたケースはほとんどないという。
背景には、ダックのようなボタン専門店が減少したことで、気に入ったボタンを購入できる場所が失われつつあるという事情があるようだ。扱う店は減っても、ボタンそのものが持つ魅力は変わらない。だからこその客の変化なのだろう。
清水さんは「ボタンを変えるだけでいかようにも違う服にすることができるんです」と語り、「いろいろ試してみて、実際にボタンを変えたらこんなに違うんだって感じて楽しんでほしい」とほほえむ。
「最近はオリジナルのアクセサリーや編み物で使用するためにボタンを購入する人も増えている」と話す清水さん。先代の遺影が見守る店内で、これからも流行だけにとらわれないこだわりの品ぞろえを守り続けていく。(星直人)