論理的ではなく「非連続的な思考」がもたらす成果 リスクもコストもほぼゼロで成果を出す方法
リスクもコストもほぼゼロの施策でありながら、世の中に埋まっている、ものすごく大きな資産を引き出す。これこそ「クリエイティブジャンプ」だと思いました。 ■非連続な思考で突破する 私の著書でも主題にしている「クリエイティブジャンプ」とは、リソースが限られている中で、論理的な思考ではなく、非連続的な思考によって、非連続な成果をもたらすことを指します。 私自身の体験をお話ししますと、北海道富良野市でペンション経営を開始した際は、とにかく他の施設と比べて見劣りしないようにすることでお客様の滞在満足度をあげようと考えていました。
富良野といえばメロンが有名なので、朝食でメロンを提供したり、オリジナルのスイーツを開発したりしたのですが、どれもうまく刺さりません。でも、いろいろと思考錯誤しながらやってみるうちに、夜に無料でお酒を楽しめるフリーフローサービスを始めたところ、お客様同士のコミュニケーションが生まれ、滞在満足度が大幅に上がるようになったのです。 同じシーズンに2度リピートしてくれるお客様や、海外からリピートしてくれるお客様も現れました。
それまでは「良いサービス」を提供しようとずっと試行錯誤していたのですが、お客様が求めていたのは旅先のポジティブな予定不調和だったのだ、と気付かされた体験でした。この、フリーフローサービスを始めたことが、ささやかながらも私たちにとっての最初のクリエイティブジャンプだった、といえます。 その後、京都、大阪とホテルを開業していく中でも、ホテル市場の厳しい顧客獲得競争に晒され疲弊してしまった時期がありました。
そこで、とにかく毎日のようにツイッター(現エックス)にかじりつき、どういうコンテンツが求められているのか、お客様の消費行動がどのように成り立っているのかをチェックし続けました。 その時の学びをもとに、大阪でホテルを開業するにあたっては、「大阪の空気感を表象していること」、「お客様にとって当ホテルに泊まる意味になるような体験があること」、「それが人に伝えたくなる要素にもなっていること」という3点をすべて兼ね備える存在として、全客室にレコードプレーヤーを置くということにチャレンジしました。