恐怖!! 人を恐れない「アーバンベア」がやってくる…「クマがかわいそう」という苦情で被害者続出
野生鳥獣による農作物被害は2021年度に約155億円
では、クマと「共存」する方法はあり得るのか。その手法の1つとされてきたのは「ゾーニング管理」だ。森林などクマの保護を優先すべき区域と、農地や住宅地周辺など人間の生活空間を守る区域に分け、その間に「ベアドッグ」と呼ばれる犬や銃器を用いた追い払いを行う緩衝地帯を設定。人とクマの適切な距離を確保し、人や農林業の被害を防ぐ手法と言える。 ゾーニングで人とクマのすみ分けを目指す長野県軽井沢町では、捕獲したクマに発信器をつけて行動を調査し、電波情報をもとにベアドッグが追い払いを繰り返してきた。人間の生活空間での人身被害はなくなり、20年以上もかけた地道な活動が功を奏している形と言える。ただ、ゾーニング管理は長い時間と費用が欠かせず、出没が多い年だからといって急遽できるものではない。クマを侵入させないために柿などの誘引物を管理するにしても、伐採や刈り払い、フェンス設置などの費用をどこから賄うのかは課題と言える。 野生鳥獣による農作物被害は2021年度に約155億円となっている。クマによる被害は飼料作物や果樹、野菜などが多く、これまでの対策は金網フェンスなどの侵入防止柵設置が多かった。電気柵は強い電気ショックを与えるが、ワイヤーに触れさせなければならず、適切な設置と維持管理ができなければ侵入防止効果は得られない。
佐藤健太