恐怖!! 人を恐れない「アーバンベア」がやってくる…「クマがかわいそう」という苦情で被害者続出
秋田県では定点カメラを設置
5月には群馬県安中市の住宅にクマ1頭が侵入し、70代夫婦が襲われて大ケガをした。長野県飯田市でも7月24日に公園近くを散歩していた80代男性がクマに顔などをひっかかれ、大ケガを負っている。クマは山中にエサが少なければ少ないほど、人里に出没する可能性が高まるといわれてきた。昨年は「凶作」だ。しかし、一度でも行動範囲を広げたことがあるクマは市街地周辺でエサを探し求めた「経験則」から人を恐れなくなり、凶作に関係なく生活圏を脅かしているとの指摘がある。 「毎日、最低1回はメールが届く。最近はエサを自分でまだ確保できないような体長1メートル未満の子クマがよく見られている」。昨年度の人的被害が過去最多の70人に上った秋田県は警察や市町村に寄せられたクマの目撃情報をメールで通知してきたが、7月からは出没場所や時間を地図上で示す情報マップシステム「クマダス」の運用をスタートした。北秋田市の職員は頻繁に通知されるメールで人的被害がないことを確認すると、ホッとした表情を見せる。 4月からクマが「指定管理鳥獣」に追加され、自治体は対策に国からの財政支援を受けられるようになった。秋田県はこうした点をにらみながら、7月5日に猟友会や学識経験者らによる検討委員会を開き、今秋はクマの好物であるブナの実などが「並作」であるとの予想や繁殖率などをもとに、今年度のクマ捕獲数上限を約800頭とすることが決まった。
AIの活用でどのようなクマが侵入したのかリアルタイムで通知
県は約4400頭が生息すると推定してきたが、昨年度に捕獲したクマは約2300頭に上る。今年に入ってからの目撃情報は7月頭までに530件を超え、昨年を上回るペースだ。秋田県の男性職員は「これまで生息調査をしてきたが、実際にはそれよりもかなり多いのではないか」と話す。同県は定点カメラを設置し、ツキノワグマの胸のあたりにある月のような白い模様から個体の確認を進める。 クマとのすみ分けで注目されることになったAI(人工知能)の活用にも積極的だ。AI解析サービスを展開する「ZeroToInfinity」(ZTI、東京・新宿)と「カミエンス・テクノロジー」(東京・人形町)は北秋田市と連携し、クマの行動をディープラーニング(深層学習)させて検知率を上げている。