恐怖!! 人を恐れない「アーバンベア」がやってくる…「クマがかわいそう」という苦情で被害者続出
「クマがかわいそう」「駆除する以外に方法を考えろ」といった苦情
両社は群馬県嬬恋村の畑にAIセンサーを設置し、クマの接近を検知するとともに忌避効果がある光や音を発信。登録先にどのようなクマが侵入したのかリアルタイムで通知するサービスを展開した経験があり、鳥獣被害に悩まされる自治体から問い合わせが相次いでいるという。クマ対策でもデジタル化がカギを握るのだ。 群馬県も今年度に生息調査を拡大し、対策強化に乗り出す。同県の生息数は約2000頭(2020年度)と推定されたが、昨年度の出没数は700件を上回る。山本一太知事は5月23日の記者会見で「クマは冬眠前後の活動が活発になるということが分かっている。山に行かれる際にはクマとの遭遇を避けるためクマ鈴、ラジオ、さらに万が一の遭遇に備え、クマ撃退スプレーの携帯をお願いします」と注意を呼びかける。 昨年はクマの駆除に対し、「クマがかわいそう」「駆除する以外に方法を考えろ」といった苦情が自治体に殺到し、職員らは大量のクレームへの対応も余儀なくされた。
「愛護だけでは、クマ類の個体群を守ることができません」
こうした事態に「野生生物と社会」学会は昨年11月12日、緊急声明で「クマ類は人との軋轢も大きく、付き合い方を間違えれば人命を奪うこともあり、一定数の捕獲は欠かせません。クマ類との共存のためには、人の生活圏に侵入した個体や再出没が懸念される個体は捕獲すること、さらには、人の生活圏には侵入させない対策は必要不可欠です」と指摘した。 さらに緊急声明では「愛護だけでは、地域社会のみならずクマ類の個体群をも守ることができません」「関係者への配慮の無い電話や執拗なクレームは、関係者の努力をくじき、かえってクマとの共存を妨げる結果を招きます」などと理解を求めている。ある秋田県の職員も「こちらでは人の生死がかかっていることは分かって欲しい」と困惑を隠さない。 クマは基本的には暑さに弱いとされるが、7月に入っても人的被害や目撃情報が相次いでいる。繁殖期に市街地周辺にまで活動を活発化させ、人の存在を恐れない「アーバンベア」の勢いは衰えるどころか増しているように見える。 夏前から冬眠に入る時期にかけて被害が拡大する傾向がみられる中で、国や自治体にできることは何か。まず重要と言えるのは、一人ひとりが正しい情報と対策をもとに行動することであるのは間違いない。今年度は人的被害が少しでも減少することを切に祈る。