自動車学校の指導員不足という課題解決につながるのか?運転をAIが判断する「AI教習システム」を体験した
■走行後には車載モニターに採点が表示 一連の走行を終えて発着点に戻る。ここでは車載モニターを通じて、自身の運転結果が映像と数字、そしてテキストで明確に示される。ここでは主に減点されたところがテキストでタイトル表示され、そこをクリックすると車内映像とともに、どこが減点対象だったのかを細かくテキストで解説してくれる。 筆者は70点とギリギリ合格点だった。しかし、結果には少々納得がいかないところがあった。なぜなら、減点と示されていた箇所のうち、たとえば発進時の安全確認は目視で万全に行ったつもりだったし、30m/3秒ルールや速度も守っていたからだ。
AI教習システムでは走行後、車内外カメラの映像やLiDARセンサーのデータを一画面にした確認データで振り返ることができる。そこでは減点シーンの確認も可能だ。 その確認データを見ると、筆者の何十倍も厳格に運転操作がチェックされていた。路肩からのスタート時、右側だけの安全確認だけでは不十分で、停止している路肩側の確認も必要であると減点。次にカーブ走行時、安全とされる速度から1km/hオーバーしていたことで減点。また、ウインカーの操作タイミングこそ正しかったが、その際にステアリングをほんの少し、ウインカー操作と逆の方向に舵をきったことがNG操作と判断され減点。
結果は素直に受け止めた。運転している本人の確認データで何度も見直せるから、これはもう納得するしかない。きびしすぎるような気もするが、不思議と腹落ちも早かった。なぜなら人(助手席に座る指導員)ではなく、AI(教習システム)が、客観的(映像や運転操作)に判断しているからで、ここを顧みて次からの運転操作に活かすことで、求められる安全運転へとまた一歩、近づける。 ■AIと指導員の共存が現状では最善か 同時に、指導員による指導のすばらしさも改めて発見できた。運転しているそばから、正しい操作の教習を適宜、受けられるし、なんならその前後の運転操作に対するアドバイスや、もっと楽に運転できる方法などベテランならではの極意も得られるからだ。現時点、そうしたアドバイスはAI教習システムからは得られない。