例えば「トヨタ」…世界株インデックスだけではもったいない「日本のグローバル株」という選択肢【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
3. トヨタに見るグローバル企業のパフォーマンス
■日本を代表するグローバル企業ともいうべきトヨタの業績は、日本の経済成長だけでなく世界経済の伸びを上回って推移しています。2013年末以降の10年間では、日本の実質GDPは年率+0.5%、世界の実質GDPは同+3.1%(米ドル建て)のペースで拡大していますが、この間トヨタの営業利益は同約+8.9%の増加、米ドル建てでも同約+4.7%の増益となっています(図表3)。 ■高い成長を背景にトヨタの一株当たり利益(EPS)も、2013年度の115円6銭から、2023年度には同365円94銭と約3.2倍に増加していて、世界株インデックスのEPSの増加率(同約1.5倍)を凌駕しています。こうした業績の好調を反映して、トヨタの株価は世界株インデックスに遜色ないパフォーマンスを続けています(図表4)。 ■もちろん、個別株への投資ですから相応の変動リスクを負うこととなります。例えば、今年度のトヨタ株は、検査データの偽装による生産の一時停止や急激に進んだ円高への懸念などから、調整局面にあります。とはいえ、今後もバランス良く世界に事業を展開させ、世界経済を上回るペースで業績拡大を続けることができるのであれば、トヨタ株のパフォーマンスは長期的には引き続き世界株インデックスを凌駕する可能性がありそうです。 〈まとめに〉 世界株インデックスへの投資が人気です。米国株を中心に海外の株式市場に広く投資できる世界株インデックスは、とても便利な投資対象と言えそうです。一方で、「世界経済に投資をして成長の果実を得る」という観点からは、大きな為替リスクを負わず日本円で投資ができる日本のグローバル企業(株)は、ユニークかつ有望な投資機会と言えそうです。もちろん、投資の成否を決めるのはその企業の成長性や競争力であることは言うまでもありませんが、成長地域を中心にバランス良くビジネスを展開するトヨタのようなグローバル株は、わたしたちにとって有力な選択肢と言えそうです。 (2024年10月9日) ※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。 ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『例えば「トヨタ」…世界株インデックスだけではもったいない「日本のグローバル株」という選択肢【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】』を参照)。 白木 久史 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフグローバルストラテジスト
白木 久史,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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