例えば「トヨタ」…世界株インデックスだけではもったいない「日本のグローバル株」という選択肢【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
2.「灯台もと暗し」日本のグローバル企業
■こうした「グローバル株」は、私たちの身近にも見つけることができます。例えば、日本の基幹産業である自動車業界には多くの「グローバル企業」がひしめき合っていて、主要各社は高成長の国・地域を中心に積極的な海外展開を進めています。その代表格であるトヨタ自動車(以下、トヨタ)は、2023年に年間約1,000万台超の自動車を世界で販売していますが、日本国内向けは僅か約160万台程度に過ぎません。そして、米国をはじめとする世界170以上の国・地域で広く販売されています。 〈米国に集中する世界株インデックス、世界に分散するグローバル企業〉 ■一方、世界株インデックスの投資先は資本市場の発達した47ヵ国に限られ、その国別ウエイトの64%超が米国に集中しています。これは、世界株インデックスの国別配分が市場の時価総額で決まるからで、過去に大きく成長してきた米国株のウエイトが大きい一方、今後の成長が期待される新興国のウエイトはどうしても小さくなってしまいます。こうしてみると、将来の経済成長の恩恵を受けたいのであれば、世界株インデックスよりもバランス良く成長市場に展開するグローバル企業の方が優れている可能性があります。 〈為替リスクは「グローバル株<世界株インデックス」〉 ■また、為替リスクという観点からも、グローバル株への投資には有利な点がありそうです。というのも、世界株インデックスはそのほとんど(除く日本株部分)が米ドルを中心とした外貨建てとなるため、為替リスクと背中合わせとなっているからです。このため、市場が不安定化する「リスクオフ」の局面では、株安と円高がダブルパンチとなり、投資家は思わぬ痛手を被ることも少なくありません。 ■一方、日本のグローバル株への投資は円建てですから、投資家は直接的には為替リスクを負いません。そして、わたしたちに代わり海外ビジネスに付随する為替リスクを負っているグローバル企業は、海外生産や外貨建ての借り入れを増やしたり、海外ビジネス全体の通貨ポジションを為替予約やデリバティブ取引でヘッジすることで、そのリスクを巧みにコントロールしています。このため、外貨建て資産を為替ヘッジ無しで保有する世界株インデックスと比べて、グローバル株への投資により生じる為替リスクはよりマイルドになる傾向があります。
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