耐震化率低い街襲う…“キラーパルス”で輪島市等の住宅に大きな被害 専門家「耐震補強は一部屋だけでも」
今回の地震で最大震度7を観測した志賀町では、周期0.2秒前後のより“短い揺れ”が多く、観測点周辺の建物に大きな被害はなかったという。
■輪島市は全国平均の“約半分”…耐震化がすすまないワケ
能登半島地震同様にキラーパルスによる建物の被害が相次いだのが、1995年に起きた阪神・淡路大震災だ。
阪神・淡路大震災では死者6434人の8割以上が、倒壊した家屋の下敷きとなるなど建物が原因で亡くなったことから、“耐震性”が大きく注目されるきっかけとなった。
1981年以降に適用された「新耐震基準」を満たした建物の割合は、全国平均でおよそ87%だ。しかし、輪島市の場合は“約45%”と、平均を大きく下回っている。
名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、今回の地震で建物被害が相次いだ背景に「耐震化率の低さ」を指摘する。
名古屋大学 福和伸夫名誉教授: 「過疎化が進む高齢化社会ゆえに、なかなか耐震化率が改善されてなかった。お年寄りの方々は、耐震補強にもなかなか前向きになりにくい」
■耐震化率が26.5%の愛知県東栄町 高齢化と老朽化の中で「今更直しても…」
耐震化率が、今回の被災地よりも下回る自治体が愛知県にある。北東部に位置する「東栄町」だ。 人口は約3000人、半数以上が高齢者という過疎と高齢化の町だ。 耐震化率は「26.5%」で、街並みを見ると古い木造住宅が目につく。
住民に、耐震化について聞いてみた。 70歳男性(家が築30年程度): 「耐震化は…今言ってもそこまではみんな考えんじゃないかなと思ってね。今度うち建てるなら、いつもいる場所は鉄骨を組んで、あと壁紙貼るような構造にするしかないのかなというような気がするけどね。」 62歳男性(家が築100年以上): 「お金の問題だよね。(耐震改修を)やろうと思っても正直この地区に大工さんって少ない」 90歳女性(家が築100年以上): 「昔の石の上に丸太のせて作ってある家だわ。地震きたらバターンだわ。若い衆は出ちゃっとる、しょうないわ」
東栄町は、南海トラフ地震で最大震度6強の揺れが想定されていて、担当者も頭を抱えている。 東栄町建設課 原田経美課長: 「やはり過疎ということもあって、あと老朽化。老人世帯が多いということで、改修まで追いつかない」 東栄町によると、2002年からこれまでに耐震診断を受けた家は138軒だが、補助金を受けて改修したのは、そのうちわずか3軒のみだという。