注目のミュージシャン、クレア・ラウジーが奏でる「エモ・アンビエント」 ジャンルに縛られない音楽づくり
――抽象的な聞き方になりますが、クレアさんにとって「ベッドルーム」はどんな場所だと言えますか。そこは他人が立ち入ることのできない聖域であり、世界とつながる場所でもあり、何よりイマジネーションの源泉となるような空間でもあると思いますが。
クレア:私にとっては、何よりも想像力が膨らむ場所です。自分の場合、音楽のアイデアを考えたり、人生のことを思い描いたりするときは、いつもベッドルームで過ごしていました。それに、ポップ・カルチャーの中で自分が好きなものの多くは、ベッドルームから生まれています。1960年代や70年代の有名なロック・スターたち――特にニューヨークのチェルシー・ホテルに住んでいたミュージシャンのベッドルームの写真が大好きで、とてもクールだなって。自分とはまったく違う世界を生きていて、けれどプライベートで親密な空気が感じられて、そんな想像と現実が混じり合ったような感じに惹かれます。だから自分もベッドルームで音楽をつくっている時には、そんなロック・スターの気分がちょっと味わえたりして(笑)。
――確かに、「sentiment」のジャケット写真は、パティ・スミスの初期の作品、例えば「Horses」や「Wave」を思い起こさせるところがあると思います。
クレア:そうですね(笑)。そうかもしれない。
――ちなみに、クレアさんの中で「ベッドルーム」から連想する音楽のイメージって何かありますか。
クレア:若い頃は“ベッドルーム・ポップ”というジャンルにハマっていました。Tumblrでベッドルームで音楽をつくっている人たちの写真を集めたり――クリスタル・キャッスルズの、あの雑然とした感じとか。今はあまり聴かないし、特別に影響を受けたりしたわけではないのですが、すごくパーソナルな自分の日常を特別なものに見せてくれるあの感じがすごく好きだったんです。
――例えば、「ベッドルーム」発の素晴らしい音楽を残しているアーティストとして、エリオット・スミスやスパークルホース、キャット・パワーなんかも挙げられますが、そのあたりはいかがでしょうか。