注目のミュージシャン、クレア・ラウジーが奏でる「エモ・アンビエント」 ジャンルに縛られない音楽づくり
――海外のショーでは、自分の部屋を再現したセットをステージ上に組んでライブをされると聞いていたので、先日も期待していたところがあったのですが。
クレア:残念なことに、そのセットは飛行機で輸送中に壊れてしまって、今回のツアーに持ってくることができなかったんです。家で直そうとしたのですが、ここに来るまでに間に合わなくて。それで、新しいものを注文したところ、届くのが遅れてしまい……だから、今度のヨーロッパ・ツアーの一部も“ベッドルーム”なしでやることになると思います。
――そもそも、ステージ上にベッドルームを再現するというアイデアは、どういうところから生まれたものだったのでしょうか。
クレア:アルバム(「sentiment」)のジャケット写真にインスピレーションを得たアイデアでした。あれはスタジオ内につくったベッドルームだったのですが、あの空間でライブをやってみたいと思って。今回のアルバムに収録された曲のほとんどは自分のベッドルームでレコーディングしたもので、その時に感じた心地良さや親密な感覚をライブ・パフォーマンスにも取り入れたかったんです。自宅でつくった音楽を、ライブでそのまま再現できたら最高だろうなって。
――「sentiment」のジャケット写真は、あの作品のストーリーやムード、そしてサウンドの質感を象徴的に捉えた一枚だったと思います。実際、どのようなコンセプトをもってあのベッドルームはつくられたのでしょうか。
クレア:あの写真は、これまでに住んだベッドルームを全て組み合わせたような部屋をイメージしたものでした。だから、ちょっと子どもっぽい自分の側面と、今の大人になった自分とが混じり合った、少し不思議な感じのベッドルームになっていると思う。今回のアルバムに収録されている曲は、本当に長い時間をかけてつくられたものでした。なので、その間の自分の人生における全ての経験と、曲が書かれたさまざまなベッドルームの雰囲気を詰め込んで、一つの完璧なバージョンをつくりたかった。全ての曲が、10年以上かけていろんな場所で生まれたように、音楽と私の人生をつなげて、このアルバムとジャケット写真を通じて一つの作品として表現したかったんです。