737のラダー不具合、NTSBが緊急安全勧告 ユナイテッドの737MAXで2月発生
NTSB(米国家運輸安全委員会)は現地時間9月26日、ボーイング737型機の一部にラダー制御システムの不具合がある可能性を指摘し、ボーイングとFAA(米国連邦航空局)に対し、緊急安全勧告を出した。ユナイテッド航空(UAL/UA)の737-8(737 MAX 8)で、ラダー不具合が今年2月に米ニュージャージー州のニューアーク・リバティー国際空港で発生したことを受け、調査が行われていた。 【画像】不具合が起きたアクチュエーター NTSBによると、問題が発生したユナイテッド航空の737 MAXは、着陸時にラダーペダルが動かなくなり、機長がノーズホイールを使い機体の方向を制御した。このトラブルによる機体の損傷や乗客乗員のけがはなかったが、NTSBはこのトラブルを重視し、調査を進めてきた。 調査の結果、当該機のラダー制御部品の一つである「ロールアウト誘導アクチュエーター」が原因だったと判明。製造元のコリンズ・エアロスペースで実施したテストの結果、このアクチュエーターが低温環境下で機能が著しく低下することが確認された。また、テスト対象の部品には湿気の浸入がみられ、製造過程でベアリングの組み立てに不具合があったことが原因とされている。 このアクチュエーターは、737NG(次世代737)と737 MAXの一部機体に搭載。コリンズは2017年以降、353個以上をボーイングに納入したと報告している。NTSBは、万が一、飛行中や着陸時に同様の不具合が発生した場合、機体の制御が困難になり、滑走路逸脱などのリスクが高まる可能性があると指摘した。 NTSBはFAAに対し、該当するアクチュエーターを搭載している機体の運航について、適切な対応を取るよう要請。アクチュエーターの取り外しや、適切な対応方法を定めることを推奨している。また、FAAが該当アクチュエーターの取り外しを決定した場合、他国の航空当局にも通知し、世界的な対応を促すよう勧告した。 調査は現在も継続中で、追加の情報が発表される可能性があるという。
Tadayuki YOSHIKAWA