当時はみんなライバルだった 80年代『ジャンプ』の人気漫画家が赤裸々告白
「自分の原風景を見ているようで感動しました。自分の人生を自分の息子に伝えるチャンスだったなと思います。早めに結婚しておいたらよかったです」 冒頭、感慨深くも小さくボケながら話すのは、芸能界でも屈指の漫画好きで知られるお笑い芸人のケンドーコバヤシ氏。 現在、森アーツセンターギャラリー(港区・六本木)で開かれている「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.1創刊~1980年代、伝説のはじまり」を記念して、同誌で連載を続けてきた人気漫画家による特別トークセッションが13日に行われた。 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の秋本治氏、『キン肉マン』のゆでたまご(嶋田隆司氏、中井義則氏)、『キャプテン翼』の高橋陽一氏が登壇し、作家どうし一番を競って、しのぎを削った時代の思い出とジャンプへの熱い思いぶつけ合った。
破天荒な両さんとはまったく違う秋本氏
80年代の頃と比べて現在のお互いの印象について、「みんな変わりませんね、少年のまま」と秋本氏。この中でデビューが最も早かった秋本氏は、後輩たちから『こち亀』の破天荒な主人公・両津のイメージとの大きなギャップに驚かれることがよくある。 「秋本先生は優しいんですよ。ジャンプの作家さんって、バンカラな方が多くて。本宮さん、車田さん、宮下さん、パッと見が。後輩はみんなお酌して回らないといけないんですが、秋本先生は『トランプやらないか』と言ってくださったんです」と嶋田氏が言うと、「僕はお酒、あまり飲まないので。みんな緊張しているのがわかるんですよ」と秋本氏。また、関西出身のゆでたまご両氏のデビュー当時はまだ学生だったと聞いていて、「親心ではないんですが、けっこう心配していました。何かフォローできることがあればって思っていましたね」とも。 同じ東京都葛飾区出身の高橋氏は、「秋本先生は同郷の先輩なので、お手本のようになっています」と言うと、「同じ葛飾区でもうひとり作家が出て、すごくうれしかった。サッカー漫画は当時、すごく新しくて。高橋先生はすごい優しい感じの方なんですが、作品にスピード感があって、けっこうチャレンジングなことをやって、どんどん描ける方でうれしかったです」