スペイン警察、サッカーファン3人を逮捕 選手への人種差別発言で
スペイン国家警察は、10月26日に首都マドリードで行われたプロサッカーリーグの伝統の一戦「エルクラシコ」で、FCバルセロナの選手に対する人種差別的な暴言を吐いた疑いで、レアルマドリードのファン3人を逮捕した。国家警察が23日に発表したとして、同国の複数のメディアが報じた。 逮捕されたファンはレアルマドリードの本拠地ベルナベウ競技場で、対戦するFCバルセロナの人気選手であるラミンヤマル、ラフィーニャ、アンス・ファティの3人に対し、人種差別的な発言をしたとされる。試合中、2人の選手がゴールを祝福するためにタッチラインに向かったところ、数人のレアルマドリードファンが選手に向かって猿のような身ぶりをしたり、差別的な発言をしたりした。この試合でレアルマドリードは宿敵のFCバルセロナに対し、0対4という大差で敗れた。 試合後に短文投稿サイトのX(旧ツイッター)に投稿された動画では、ラミンヤマルに対し「ろくでなしの黒人」や「ろくでなしのムーア人」と呼ぶ、人種差別的な罵声が確認された。後者はモロッコ系の人々に対する侮辱として、スペインでよく使われる言葉だ。同国のスポーツ紙ムンド・デポルティーボが報じたところによると、同選手に対し「信号でスカーフでも売ってこい」と叫ぶ声もあったという。(訳注:途上国などで、信号待ちの車の運転手に商品を売り歩く行商人を指して侮辱しているものと思われる。) 同紙は、スペインのプロサッカーリーグ「リーガエスパニョーラ」の関係筋が試合後、この事件に対する措置を取る意向を示したと伝えた。レアルマドリードも試合の翌日、次のように発表した。「サッカーやスポーツでの人種差別や外国人嫌悪、暴力を伴うあらゆる行為を強く非難するとともに、昨夜スタジアムの一角で数人のファンが発した侮辱的な言葉を深く遺憾に思う。レアルマドリードは、これらの遺憾かつ卑劣な侮辱行為の加害者を特定し居場所を突き止め、適切な懲罰や司法措置を講じるために調査を開始した」 この事件を受け、かねてよりスペイン各地の競技場で人種差別を受けていることがたびたび報じられているレアルマドリードのブラジル人選手ビニシウス・ジュニオールも試合の翌日、宿敵FCバルセロナの3人の選手に対する連帯をX上で表明した。「昨日ベルナベウで起きた人種差別的な侮辱を残念に思う。私たちの社会にこのような犯罪者の居場所はない。ラミン、アンス、ラフィーニャを心から応援している。(レアル)マドリードと警察は犯罪者を特定し、罰するために動いてくれるはずだ!」 現在、この事件に関して3人の逮捕者が出ており、容疑者が有罪となれば刑罰が下されるものとみられる。
Tom Sanderson