「えっ…!」交通事故の相手が「車検切れ」? まさかの「泣き寝入り」も!? もし“無保険”車と「事故った」らどうなるのか
事故の補償は「自賠責保険」と「任意保険」の2階建て構造になっている
もしあなたがクルマを運転中「もらい事故」にあい、その相手が車検切れだったらどうなるのでしょう。 あなたが被った損害は賠償されるのでしょうか。 【画像】「えっ…!」これが高速道路で「絶対やってはいけない」行為です!(30枚以上)
もらい事故とは、事故を起こした相手にすべての過失があり、事故を受けた側には一切の過失がない状態のことを言います。 例えば赤信号で停止中、後続車が前方不注意で追突してきた場合などが挙げられます。 そんなもらい事故の相手が車検切れのクルマだった場合、ほとんどが「自賠責保険」も切れています。 自賠責保険は「強制保険」とも呼ばれており、すべてのクルマが加入することが義務付けられています。 原則、自賠責保険の有効期間は車検の有効期限に合わせていることから、「車検切れ」イコール「自賠責保険に入っていない状態」といえます(自賠責保険契約後に遅れて車検を通した場合などにズレが発生することもある)。 自賠責保険と任意保険の関係は2階建て構造になっています。 自賠責保険は、人身事故で他人を負傷ないしは死亡させた場合に補償するためのものです。ただし「物損事故」への補償はなく、その部分を任意保険でカバーするという構造になっています。 しかし事故の相手が「任意保険(自動車保険)」に加入していたとしても、自賠責保険が切れていた状態では任意保険は使えない点は注意が必要です。 ちなみにそのような任意保険に入っていない(もしくは無効な)クルマを「無保険車」と呼びます。
「無保険車」との事故を救済する「国の制度」もある
さて、もらい事故を受けた側の車両の修理費用は、事故を起こした側へその費用を請求(損害賠償請求)をします。 このとき、事故を起こした側が車検が切れておらず、有効な自賠責保険に加入はしているものの、任意保険に入っていなかった場合、事故を起こした側は、自身の資産から支払うことになります。
事故を起こした相手に、貯金をはじめ資産が一切なく、親族や親戚などから借りることもできないなど支払能力がなかった場合は、事故を受けた側はクルマの修理費用は、相手から支払ってもらうことができません。 これが裁判となって、事故を受けた側の損賠賠償請求が認められたとしても、相手に資産がなければ差し押さえもできません。せいぜい、相手の次の給料の一部が差し押さえられる程度でしょう。 これでは、もらい事故を受けた側の丸損となってしまい、泣き寝入りするしかありません。 しかし事故を受けた側が「車両保険」(任意保険における、自身のクルマを補償する保険)に入っていれば、その保険金額を上限にクルマの修理費用が補償されます。 この場合は保険等級に影響がなく、次の更新時に保険料が上がることはありません。 もらい事故が人身事故であった場合、自動車保険の「無保険車傷害保険」ないしは「人身傷害保険」で、事故を受けた側の死亡・後遺障害・ケガへの補償がされます。 また、無保険車が自賠責保険に入っていなかった場合で、かつ事故を起こした側に賠償金支払能力がなかった場合は、政府の補償事業で国が事故を起こした側に代わって被害者へ保障金を立替払いしてくれる制度があります。 このように人身事故の場合は政府による救済措置がありますが、物損事故にはありません。 自分自身が被害者となったときのことも補償を考えて、自動車保険と車両保険には加入をしておいたほうが安心です。 ※ ※ ※ 車検切れのまま公道を走行すると、「無車検運行等」と「無保険運行」の併合罪となり、1年6カ月以下の懲役または80万円以下、免停期間は90日(前歴なしの場合)という罰則が定められています。 自分自身の愛車も、車検切れを起こさないよう十分注意する必要があります。
佐藤 亨