検察のエースが部下の女性に…「泊っていけ」と言われた編集者が体感した性暴力の構造
2024年10月25日、衝撃的な会見が目に飛び込んできました。性犯罪撲滅に向けて力を尽くしてきた女性の検事が、自身が受けた性暴力について、声を震わせながらも必死に訴えていたのです。大阪地検トップの元検事正、北川健太郎被告が初公判にて起訴事実を認めた上で、「被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい」と述べた事件の内容は、え、検察官が? と耳を疑うものでした。さらに、およそ6年の間、彼女は検事という仕事をしたくてもできない状況に置かれていたというのです。被害者のような検事こそが必要なのに、その彼女が絶望し、仕事もできない状況にある。そこに多くの人が衝撃を受け、被害者に多くの応援の声が届いたと言います。 【写真】24歳大学院生が驚愕したフィンランド「5歳からの性教育」の中身 ところが12月10日、就任したばかりの北川被告の新しい弁護人が一転「同意があった」と無罪を主張することを発表。翌日11日には、女性が再度会見し、時に声を震わせながら「きのうの弁護人の会見後、夜も眠れず、胸が痛み、息をするのも苦しく、涙が止まりませんでした」と語りました。 これらの報道や会見は、性的同意とはなにか。性暴力とはなにかを改めて考えさせられるものです。性暴力の構造を、新入社員時に週刊誌の編集部にいた筆者の体験をもとに紐解きます。 編集部注:本記事には、具体的な描写が含まれます。閲覧にはご注意ください。
他人事ではない
筆者の体験も「お酒」が関係しているものなので、北川被告の事件の被害女性については、他人事ではないと感じて会見を見ました。 改めて女性の検事が会見で語った内容を振り返ります。事件が起きたのは2018年9月12日。女性は、半年前に大阪地検検事正に就任した北川被告の懇親会の席で酔いつぶれ、意識もうろうとしていました。同席していた仲間が心配する中でタクシーで帰ろうとしたところ、北川被告が女性の乗ったタクシーに乗り込み、彼女の自宅ではなく、自分の官舎に連れて行きました。そして女性が目が覚めた時には北川被告から性交されていたというのです。何度も帰りたいという訴えをしたけれど、酩酊状態の中で抵抗もままならず、被告は3時間にわたり性交に及んだといいます。 女性を苦しめたのはその性交そのものだけではありませんでした。当時の検事正であり、関西のエースと言われた北川被告からは脅しによる口止めをされたばかりか、大阪地検内で同僚に虚偽の情報を流されるなどの「セカンドレイプ」も受けたといいます。6年間被害を訴えることもできず、身も心もボロボロになったと涙ながらに語っていました。その内容については、性加害のみならず、事実関係をきちんと明らかにしなければなりません。