感覚過敏とともに。「できないから、どう生きるか…」起業、私立中学を退学、ブランドを立ち上げ、18歳の今【体験談】
16歳で立ち上げた感覚過敏課題解決ブランド「KANKAKU FACTORY」
加藤さんは、感覚過敏の人の困り感を軽減するための商品開発などにもかかわっています。 ――主な活動について教えてください。 加藤 感覚過敏の啓発活動や、大学との共同研究、対策商品の自社開発および、企業と商品の共同開発を行なっています。 また16歳のときには感覚過敏課題解決ブランド「KANKAKU FACTORY」を立ち上げました。 私は小さいころから、衣服や肌着、靴下など身につけるものが肌に触れると痛みを感じていました。みんなも同じように痛いのを我慢して服を着ていると思ってしました。ですから、自分が感覚過敏だと気づいてからは、服の問題にも注目していました。 感覚過敏課題解決ブランド「KANKAKU FACTORY」は、タグなし、縫い目外側をコンセプトにしています。パーカーは、外側に出した縫い目にパイピングテープを使ってデザインにしています。また、感覚の刺激が気になるときはワイヤー入りのフードを目深にかぶったり、ファスナーを上まであげると簡易のマスクモードにもなります。感覚過敏の人のために私がデザインしたカームダウンパーカーです。 ――感覚過敏がプラスに働くことはありますか。 加藤 感覚過敏の人の多くは、小さな変化に気づける過敏さがあります。たとえばわずかな味の違い、水の違いなどがわかる過敏さを持っていれば、料理人やソムリエなど繊細な食の仕事にいかせるかもしれません。 しかし、現在は才能につなげることよりも感覚過敏による日常がつらいのが現実です。感覚過敏の人が暮らしやすい社会を作ることが私の目標です。 感覚過敏は人と同じようにできないことが多く、落ち込むことも多いかもしれません。しかし、みんなと同じようにできないことは価値であり強みだと思っています。「できないから、どう生きるか」――それは発明の種になると考えています。 お話・写真提供/加藤路瑛さん 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部 感覚過敏によって、つらい中学時代を送った加藤さん。しかし加藤さんがめげなかったのは、両親の支えがあったから。加藤さんは「いろいろあったけれど、今の自分があるのは両親が挑戦させて、前に進む環境を作ってくれたから」と言います 「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。 ●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。 ●記事の内容は2024年5月の情報であり、現在と異なる場合があります。
『カビンくんとドンマちゃん-感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方-』
感覚過敏と感覚鈍麻の2人の中学生を主人公にした物語を通して、感覚に関する子どもたちの生きづらさや悩みを追体験できる書籍。医師監修による解説も掲載。加藤路瑛著/1595円(ワニブックス)
たまひよ ONLINE編集部