感覚過敏とともに。「できないから、どう生きるか…」起業、私立中学を退学、ブランドを立ち上げ、18歳の今【体験談】
高校は通信制へ。自宅で学ぶオンライン学習だから、音やにおいがつらくない
私立中学を退学後、加藤さんは中学はフリースクール、高校は通信制に進学します。 ――私立中学を退学したいと言ったとき、両親は反対したりしませんでしたか? 加藤 中高一貫の私立校だったので、両親はできることなら辞めさせたくないと考えていたようです。両親は「また登校できるようになるかもしれないよ」と言って、退学を引き留めましたが、高額な授業料を払っているのに学校をずっと休むのはもったいないし、「ここにいたら自分は何も変わらない」と思って、退学を決意しました。 ――退学後のことを教えてください。 加藤 地元の公立中学校に籍を置いてフリースクールに通うことにしました。 中学2年の終わりころにはコロナ社会になったので、完全オンライン授業になりました。高校は、通信制の高校を選びました。通信制なので、授業はオンラインが中心です。スクーリング以外は、家の中で学べるので、感覚過敏でつらいと思うことが減りました。 たとえば、電車の中は人の体臭や化粧品のにおい、衣服の柔軟剤のにおいなどが混ざり合って、体調が悪くなります。電車や駅の音も私には刺激が強く、毎日の電車通学は負担でした。 ですから、大学も毎日通学を避けるために通信制大学を選びました。大学で心理学や脳神経学を学び、感覚過敏の課題解決をめざしたいと考えています。
五感にやさしい社会をめざして中学2年生のときに感覚過敏研究所を設立
加藤さんは中学1年生のときに株式会社クリスタルロードを設立。現在は、代表取締役社長を務めています。 ――起業した理由を教えてください。 加藤 感覚過敏を解決するために起業したと思われることが多いのですが、実は違います。最初のきっかけは、小学生で起業した人の存在を知って、「僕も起業してみたい!」という好奇心からスタートしました。 創業時は、自分のように起業したい子どもの起業支援を事業にしていました。ある日、父に「せっかく自分の会社があるなら、自分の困りごとを解決したら?」とアドバイスをもらいました。 一番最初に思いついたのは、感覚過敏でした。感覚過敏を事業テーマするということは、商品開発のために、自分の感覚を使うことになります。正直それはつらそうなので、やりたくないなと思いました。 しかし、感覚過敏を理由にあきらめていることが多いことに気がつきました。家族とレストランに行くことや友だちと遊びに行くこともあきらめていたのです。ですから、感覚過敏を理由にやりたいことをあきらめなくていい社会をめざして、感覚過敏研究所を立ち上げ、会社の事業として取り組み始めました。