「双極性障害(躁うつ病)」って何? 専門医が治療法や鬱との違いを解説【医師監修】
双極性障害の治療も教えて 薬物治療や心理社会的療法は何をするの? 双極性障害の治療後に再発して繰り返すこともある?
編集部: 双極性障害はどのようにして治療するのですか? 斎藤先生: 医療機関では基本的に薬物治療と心理社会的療法を併用して治療します。しかし、治療にあたって大切なのは、本当に双極性障害か見極めることです。 編集部: それはどういうことですか? 斎藤先生: ほとんどの患者さんはうつ状態の時に受診するので、双極性障害ではなくうつ病と診断されることが多いのです。 そのほか統合失調症にも似ていますし、さまざまなホルモンの病気(甲状腺疾患など)も双極性障害と似た症状が表れることが知られています。そのため問診やテストなどで、それらの疾患ときちんと鑑別することが必要です。 編集部: 双極性障害と診断された場合、薬物治療ではどのようなことを行うのですか? 斎藤先生: 双極性障害に有効な薬は炭酸リチウムや非定型抗精神病薬(ルラシドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなど)、抗てんかん薬(ラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンなど)があります。その時の状態により、使用する薬を選択します。 編集部: 一方、心理社会的療法とはどのようなことを行うのですか? 斎藤先生: 病気に対する理解を深めて対処法を学ぶ治療法で、心理教育や認知行動療法などがあります。ただし、心理社会的療法を行う際にも必ず薬物治療を併用します。 編集部: 治療はどれくらいの期間継続するのですか? 斎藤先生: 双極性障害は非常に再発率の高い疾患です。そのため治療は長く続くことが多く、症状が安定してからも薬物治療を継続し、気分が安定している状態を維持することが必要です。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 斎藤先生: 双極性障害は一般的にうつ病と間違われやすい病気です。人によって躁状態がわかりにくいこともあるので、もし、うつ病を繰り返す場合は双極性障害を疑ってみても良いのではと思います。 気分の落ち込みや意欲の低下など、うつっぽい状態が続く場合には早めに医療機関を受診することをお勧めします。