八海山はニューヨークへ進出...世界で「日本酒」の人気が急上昇している理由
②品質の向上 日本酒はこの10年で驚くほど品質が良くなりました。正直に申し上げて、私が日本酒を本格的に飲み始めた2009年頃は明らかな「ハズレ」もありました。しかし、ここ数年の日本酒は本当にどれも美味しく、個性も豊かになりました。 なかには、まるで桃やメロンのようなフルーティーな日本酒も増えています。海外市場ではこうしたフルーティーな日本酒が、ワインに慣れている人たちにも非常に馴染みやすかったので、次第に受け入れられるようになりました。 さらに、日本食以外の食べ物との相性がいいことが認知されつつあり、チーズやピザとも一緒に楽しまれることもあるそうです。また、ステーキなどの牛肉料理に合わせるための「カウボーイ(新潟県・塩川酒造)」や、オイスターに合せるための「IMA(新潟県・今代司酒造)」など、ピンポイントで料理との相性を意図した日本酒が増えたことも、海外での日本酒の消費拡大に寄与したと考えられます。
③冷蔵輸送サービスの向上 冷蔵輸送へのハードルは以前よりも下がりました。そのため、保冷した状態での日本酒の輸送が可能となりました。 特に、高級な日本酒は、繊細でつややかな味わいである反面、温かい環境で輸送すると品質が大幅に劣化してしまうリスクがあります。そのため、冷蔵輸送が普及したことで、高品質な日本酒を現地でも新鮮なまま味わえるようになり、これまでにない鮮度の日本酒を楽しむ機会が広がりました。 こうした日本国内と同等のクオリティの日本酒を長距離輸送できるようになったことも、日本酒人気に拍車がかかった要因と考えられます。その他にも、足元の円安の影響やインバウンドの増加により、日本酒の輸出は今後も伸びていくことが期待されます。
髙橋理人(酒蔵コーディネーター)