大荒れの一戦でフェルスタッペン完勝。ノリスはペナルティで2位を失う。キック・ザウバーが今季初入賞【F1第23戦カタールGP決勝レポート】
現地時間12月1日、2024年F1第23戦カタールGPの決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季9勝目、自身通算63勝目を飾った。 【写真】1周目にリタイアとなったエステバン・オコン(アルピーヌ)のマシン 2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続いた。角田裕毅(RB)は13位となった。 カタールの首都ドーハ近郊に位置するルサイル・インターナショナル・サーキットを舞台に開催された第23戦。スタートタイヤは20台中19台がミディアムタイヤ(C2/イエロー)を選択。18番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)だけがハードタイヤ(C1/ホワイト)を履いた。 現地時間1日19時(日本時間2日1時)を過ぎ、気温19度、路面温度23度、湿度55%というコンディションで57周の決勝レースはスタートを迎えた。抜群の蹴り出しをみせたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がフロントロウからターン1のホールショットを掴み、ラップリーダーに浮上する。 そしてノリスが2番手に浮上し、ポールシッターのジョージ・ラッセル(メルセデス)は隙をつかれ3番手に後退。また、14番グリッドスタートの角田は10番手までジャンプアップを果たす。 その後方、ターン1でヒュルケンベルグとフランコ・コラピント(ウイリアムズ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)の3台が絡むアクシデントが発生。ヒュルケンベルグは左リヤタイヤのパンクで済んだが、コラピントとオコンはコースサイドにマシンを止めセーフティカー(SC)導入に。 なお、1周目のターン4ではランス・ストロール(アストンマーティン)とアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)が接触し、2台ともにポジションを下げることに。 5周目にリスタートを迎えるとターン1で角田がフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を攻略し9番手に浮上。一方14番手につけていたローソンも同じくターン1でバルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)に仕掛けるも、単独スピンを喫し18番手に後退する。 リスタート後のフェルスタッペンは毎周ファステストを更新する走りで、早々にノリスに対し1秒以上のギャップを築き、ノリスにDRSを使わせない。 スタートから5つポジションを上げていた角田だったが、RBのマシンはレースペースが上がらず、ケビン・マグヌッセン(ハース)に10周目のターン1でアウトからオーバーテイクされてしまい、角田は10番手に後退する。 続いて13周目のターン1でピエール・ガスリー(アルピーヌ)、14周目のターン1でフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、15周目のターン1で周冠宇(キック・ザウバー)にかわされて13番手に後退。「100パーセントプッシュしてるんだ!」と無線を飛ばすほど、角田は苦しい戦いが続いた。 20周目、ターン1で角田はボッタスにまで易々とオーバーテイクを許してしまい14番手に。これで角田の後方には接触やアクシデントで後退したアルボン、ヒュルケンベルグ、ローソンのみという辛い状況となったが、その3台の方が角田よりもいいペースで周回を重ねた。 一方、2番手ノリスがフェルスタッペンから2秒前後のポジションをキープするなか、3番手のラッセルは先行する2台のペースについていくことができず、23周目にはノリスに7秒差をあけられてしまう。 そんな状況もあってか、ラッセルが真っ先に24周目にハードタイヤに履き替える。しかし、右リヤタイヤの交換でタイムロスを喫し停車時間は7秒に。これで4番手につけていたピアストリに先行を許すことに。 30周目にアルボンのマシンからミラーが飛び、ホームストレート上に落下。これで一時セクター1にイエローが振られていたが、この間にフェルスタッペンとノリスのギャップが0.6秒ほど縮まった。 フェルスタッペンは31周目に1分24秒413でこの時点のファステストを更新して、そのギャップを取り戻すが「彼はイエローで減速していないはずだ。レポートしてくれ!」と無線を飛ばす。このイエロー区間で減速しなかったことについて、のちにノリスに対し10秒のストップ・アンド・ゴーというかなり厳しいペナルティが下る。 そんななか、34周目に7番手走行中のハミルトン、35周目に4番手走行のカルロス・サインツ(フェラーリ)が、揃って左フロントタイヤをパンク。2台のパンクとの関連性は現状不明だが、ホームストレート上のデブリ(アルボンから脱落したミラーをボッタスが踏んで破片が散らばった)を回収するべく、2度目のSCが導入され、SC中の36周目にフェルスタッペン、ノリス、ルクレール、ラッセル(2度目)らがハードタイヤに履き替える。 なお、2セット目のハードを履いたラッセルは「なんでハードなんだ!」と無線で怒りをあらわにする。これでフェルスタッペン、ノリス、ルクレール、ピアストリ、セルジオ・ペレス(レッドブル)、ガスリー、ラッセル、サインツ、周冠宇、アロンソというトップ10に。 しかしリスタート直前の39周目、5番手ペレスがトラブルでマシンを止め、ペレスを除く隊列で40周目のリスタートを迎えた。ターン1でノリスがフェルスタッペンに仕掛けるがここはフェルスタッペンが抑える。ただリスタート直後、ヒュルケンベルグが単独スピンを喫しターン10でマシンを止めて、3度目のSC導入に。残り周回数が少なくなるなか、この3度目のSC中に角田とローソンはともにソフトタイヤに履き替える賭けに出た。 43周目にリスタートを迎えると、ノリスに対し、このタイミングで先述した10秒のストップ・アンド・ゴーのペナルティが下った。ノリスは46周目にペナスティを消化。さらには、ハミルトンに対してもピットレーンスピード違反に伴うドライブスルーペナルティが下り、マクラーレンとメルセデスの1台がポイント圏外に。 これでルクレールが2番手、サインツが6番手につけるフェラーリがマクラーレンとのポイント差を縮める結果となる。 スタートから完璧なレースを見せたフェルスタッペンが、57周目終わりのトップチェッカーを受け、今季9勝目、自身通算63勝目を飾った。2位にルクレール、3位にピアストリが続いた。 4位ラッセル、5位ガスリー、6位サインツ、7位アロンソ、8位周冠宇、9位マグヌッセン、10位ノリスまでがポイント獲得となった。なお、ファステストラップポイントはノリスが獲得している。 周冠宇、そしてキック・ザウバーは23戦目にして2024年シーズン初ポイント獲得。周冠宇はドライバー・オブ・ザ・デイも獲得した。一方ソフトタイヤに履き替えたRB勢はペースが改善することなく、また終盤はタイヤのデグラデーション(性能劣化)に悩まされ、角田が13位、ローソンが14位に終わった。 コンストラクターズ争いは最終戦へ持ち越しとなった。なお、4位のラッセルにSC手順違反によりチェッカー直後に5秒ペナルティが下ったが、7.678秒のギャップがあったため4位をキープすることが叶った。2024年シーズンのF1も次戦がいよいよシーズン最終戦となる。第24戦アブダビGPは、ヤス・マリーナ・サーキットで12月6~8日に開催される。 [オートスポーツweb 2024年12月02日]