齋藤元彦再選「SNSで若者がデマに騙された」は本当か? 新聞・ワイドショーが報じない「井戸県政の宿痾」という大問題
誰もが「腹落ち」を求めている
県外からも大きな注目を集めた兵庫県知事選挙で、前職の齋藤元彦氏が再選した。 多くの方がご存じのとおり、知事選がスタートした当初は、対立候補の稲村和美氏が大きくリードしているとささやかれていた。私の周囲のマスコミ関係者や政界関係者などのあいだでも、その時期に「齋藤氏が勝つ」と予想していた人は皆無だった。主要なメディアも各社そろって「稲村氏優勢」の予測を出していた。 【写真】齋藤元彦をたたき潰した「兵庫政界の闇」とは… しかし結果はご覧のとおりだ。齋藤氏が下馬評を覆す「大まくり」を成し遂げ、稲村氏に10万票以上の差をつけての勝利となった。 SNS上やテレビ・新聞では、日本の地方政治史上まれにみる「全会一致の不信任(失職)からの奇跡的な大逆転劇」について、いまもなお議論が続いている。その中で、主流となっている筋書きは大まかにいうと以下のようなものだ。 ・「『オールドメディア』が叩いている齋藤氏は、じつは既得権益に虐げられている善人」というストーリーが大衆に支持された ・マスコミの「世論操作」に対して、SNS世論が互角以上の影響力を持つようになった ・N党・立花孝志氏の登場によってSNS上にフェイクやデマが溢れて情報がかく乱され、それが齋藤氏にとって有利に働き、稲村氏が追い込まれた なるほど、そういった側面も今回の選挙では部分的にあったようにも思える。齋藤氏自身も選挙後の勝利演説のなかで「SNSのよい面に大いに助けられた選挙戦だった」と振り返っていた。SNS上では、齋藤氏の演説に数えきれないほどの聴衆が詰めかける様子が連日伝えられていた。その様子が「倍々ゲーム」のように熱を生み、やがてお祭り騒ぎ的な「齋藤フィーバー」をもたらした可能性はある。 またN党・立花孝志氏の登場によって「齋藤氏が嵌められた」「一連の疑惑は一切が事実無根だった」などという筋書きがSNS上でも拡散するようになり――こうした情報の真偽も現時点では明確ではないが――それが追い風になったという指摘も、おそらく一定の妥当性はある。 しかしながらこれらの説、つまり「ネット・SNS vs. オールドメディア・既得権益」「SNS戦略による扇動」「立花氏の攪乱」という枠組みだけで今回の逆転劇のすべてを説明してしまうこともかなり乱暴な議論であり、言ってしまえば「イマドキのネット上で腹落ちする筋書き」の一種にすぎないようにも見える。私は今回の逆転劇には、それらとはまた別の要因、それも非常に複雑で交錯した論点があったと考えている。一つひとつ整理していこう。
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