全貌が見えてきた国内でも珍しい新ルート 路面電車が広島駅ビル2階へ いよいよ2025年夏開業 工事の“核心部”にカメラが潜入!
線路の地下に重量をかけない工夫
さらに注目したのは、大州通りと駅前大橋の間にそびえ立つ高い擁壁だ。 擁壁の中に、クレーンが白い長方形のブロックをひとまとめに吊り上げて運び入れていく。それを男性の作業員が一人で軽々と抱え上げた。 実はこの白いブロックは発泡スチロール。土砂やコンクリートの約100分の1程度の重さなのに、圧力に耐える力(耐圧縮)や耐水性にも優れているという。この軽くて強い発泡スチロールブロックが隙間なくビッシリと敷き詰められていく。 これまで道路工事で使われてきたが、営業する線路での使用は日本初。地下広場や駅ビルに不要な重量をかけないために採用された。
乗り入れホームの工事現場に潜入!
ホーム部の本格的な工事もスタート。路面電車の営業終了後、様々な資材がクレーンで吊り上げられ慎重に運び込まれる。 路面電車に電力供給する架線を支える柱、電車から流れ落ちた雨水などを排水する側溝、電気の線を収容するための箱の設置など次々と工事が進められていった。 一方、施工図の情報を記した位置にズレがないか確認するのは社会人2年目の広電広島駅JV・桐山遥奈さん。広島大学工学部を卒業後、東京に配属され、2年目で広島駅の工事に携わるようになったという。ホーム部の施工管理を担当する桐山さんに野川キャスターが話を聞いた。 ーーどんな思いで仕事に取り組んでいますか? 「地域の方からすごく注目されていて、長く残っていくものだと思います。このような大きな現場に関わることができて大変うれしいです」 ーー2024年の工事を振り返り、何を感じますか? 「私自身はこちらの事務所に来てまだ3カ月ほどですが、現場としてはすでに着工から4年が経っており、2024年は3カ所の高架橋の架設やコンクリート擁壁の打設、各停留所の整備などを行ない、新ルートの完成形が見えてきたのかなと思います」 ーー開通までラストスパートの時期に入りますが最大の山場は? 「今後は橋梁部でのレールの敷設や架線柱の建て方などを順次行っていく予定です。そのための基礎工事がまだ手つかずの箇所もありますが、2025年の夏に無事開業できるように、一つ一つの作業を確実に進めていきたいと思います」 路面電車が乗り入れる広いホーム部はまだ鉄筋がむき出しの状態。今後、コンクリートが入り、その上にレールが敷かれていく。JR・広島市・広島電鉄の3者が連携し、工事関係者と地域が一丸となった新たな時代が切り開かれようとしている。 (テレビ新広島)
テレビ新広島