ホイールは巨大ネジ! ウインカーはアクションカメラ! 日常を冒険気分にする「新型スペーシアギア」のデザインは掘れば掘るほどオモシロイ!!
日常的なアウトドアを感じさせるデザインとは?
SUVテイストのタフでアクティブな価値を加えることで、ひとつのジャンルを確立した先代スペーシアギア。あまりのヒットに次々とライバルが追随するなか、いよいよ「本家」がモデルチェンジを迎えました。では、そのデザインの意図はどこにあるのか、さっそく内外装を担当したデザイナーの皆さんに話を聞いてみました。 【写真】ホイールはネジをイメージ! 新型スペーシアギアの全体(全20枚) ハードで機能的なデザインによる高い質感を狙う ──では最初に。新型の開発に当たってテーマ は設けましたか? 「はい、デザインコンセプトを「10mile ADVENTURE」としました。いまやアウトドアも多様化が進んでいますが、たとえば近所の買い物にも冒険気分を楽しめるよネ、といった身近なアウトドアのイメージですね。先代はトイライク(玩具っぽさ)でカジュアルな雰囲気を「無骨かわいい」と表現していましたが、これを継承しつつ、よりハードで機能的なイメージ を打ち出すことで高い質感を狙ったものです」 ──今年の東京オートサロンに出品された「パパボクキッチン」が新しいギアでは? という話もありましたが、塗装も含め雰囲気はかなり違います……。 「そんな話もあったようですが(笑)、パパボクキッチンはあくまでショーカーで、ギアとはまったく違うコンセプトなんです。なので、あの雰囲気を残そうとは思わなかったですね」 ──新型は「ガジェット(便利な小道具や小物)感」にこだわったそうですが、これはどこから発想したものでしょうか? 「デザインコンセプトの10mile ADVENTUREからデジタルガジェットというモチーフを思い付きました。最近はキャンプでもスマホの活用が当たり前ですし、アクションカメラなども珍しくない。そういう日常での使い勝手を込めてスケッチを描いたんです。そこから「タテヨコナナメの多角形デザイン」というテーマが生まれました」 ──なるほど。ジムニーに似たグリルは「タテヨコ」的な表現ですが、こうしたメッキパーツは使い方を間違えるとインパクトが強過ぎてしまいそうですが……。 「ここは新型のテーマであるハードな質感を示したもので、メッキパーツはあえて大きなブロックとしました。ただ、ご指摘のとおりサイズについてはかなり吟味していて、大きさによってはグリルがバラバラに見えてしまうし、一方でハードさだけでなく愛らしさも残したかったんですね」 ──ロアグリルでは「ナナメ」の造形が特徴的ですが、この台形もかなり強い表現ですよね? 「はい。標準車はアッパーボディとそれを支えるアンダーボディの水平的な2段構造になっていますが、それとは異なる造形にしたかったんです。ここも「ナナメ」の角度は相当吟味していて、あまり強過ぎないよう配慮しています。それと、左右のターンランプ部は「タテ」の表現ですが、ここは先にもお話ししたアクションカメラをイメージしたものですね」 十字型のアルミホイールはネジからイメージ ──サイド面ではドア下のガーニッシュと、サイドシル部のアンダーガーニッシュが「ギア風」ですが、ライバルではホイールアーチを塗装してブラック部分を増やしていますね? 「新型はもともとコンテナハウスをモチーフとした頑丈なイメージが特徴ですし、ホイールアーチ部も強い造形になっているので、さらにガーニッシュを追加する必要はありません。また、ブラック部分の面積はあまり広すぎると『カッコよさ、タフな男性らしさ』が勝ってしまい、誰もが乗れる『無骨かわいい』から外れてしまうと考えたんです」 ──先代のホイールは鉄チン風のアルミでしたが、今回は新しい表現ですね。 「じつは先代もマイナーチェンジ後には十字タイプのアルミに変わっていたんですよ。新型はこれをさらに進化させたく、『ガジェット感』からネジをモチーフとしました。あたかも巨大なドライバーでコンテナハウスのネジを締めるイメージですね」 ──次にボディカラーについてお聞きします。新型ではミモザイエローパールメタリック、ソフトベージュメタリック、モスグレーメタリックが初採用ですが、その意図を教えてください。 「先代はより明るく元気なカラーリングでしたが、アウトドアの日常化を意識して、より低彩度の色合いとしました。また、モスグレーメタリックは 『ベース』で非常に人気のあった色で、今後ギアでも人気が出るのでは? と思っています(笑)」 ──エンブレムやサイドガーニッシュ、インテリアなど、新型はオレンジがアクセントになっていますが、なぜオレンジなのでしょう? 「アウトドアで使われるカラーをいろいろ検討したのですが、冒険心や心の高まりを期待する色としてオレンジとしました。オレンジ自体は先代も使っていたのですが、よりハードな機能性を意識して、赤味を加えた彩度の高いオレンジとしています」