ホイールは巨大ネジ! ウインカーはアクションカメラ! 日常を冒険気分にする「新型スペーシアギア」のデザインは掘れば掘るほどオモシロイ!!
CMFデザインの可能性を拡げる取り組み
──次にインテリアについてうかがいます。インパネなどグリーンの配色が特徴的ですが、実車を見ると写真よりかなり彩度の低い緑ですね。 「そうですね。アウトドアらしいアースカラーをいろいろ検討したのですが、造形との相性、オレンジのアクセントカラーや車体色との組み合わせも考え、より彩度の低いカーキグリーンとしました。インパネ部は、標準車ではビッグトレー全面を、カスタムでは上部のみ配色していますが、ギアでは道具感を出すためインパネボックスまわりまで色を入れているんです」 ──逆に、ドア内張りを見るとグリーン塗装は上部のみになっていますね。 「じつは、新型のインテリアは色を入れられる部分がいっぱいあるんです(笑)。そこでスケッチもかなり描いたのですが、ドア部については標準車やカスタムのように広く塗るとイチバンの見せ場にしたいインパネボックスまわりが目立たなくなってしまうんです。ギアのインテリアの最大の特徴は、ツールボックスのように分厚く頑丈に見せたトレー下のビード造形です。そこに視線が集まるようドアはL字加飾のみ塗ったワケです」 ──シート表皮はギア独自のものですが、模様など、どのような意図があったのでしょう? 「ギアらしいタフなイメージに加え、はっ水効果がひと目で伝わるものとしました。表皮はエンボス加工をしているのですが、高低差が大きいとタフさが出る一方でツヤ感が減ってしまうので、そのバランスが難しかったですね。模様はタイヤの溝や歯車、外装の多角形などを意図しているんですよ」 ──では最後に。ギアがひとつのジャンルを築いたように、特別仕様車を含めたスズキのCMFデザインの提案は非常に積極的です。この点、現場でもそうした意識はあるのでしょうか? 「じつは私たち自身もそう思っています(笑)。スズキは『小・少・軽・短・美』を行動理念としていますが、コストを抑えつつもベース車とは異なる世界観をより多くの人に届けたいと考えていて、ドンドン提案を進める社風がありますね。とくに日常使いの多い軽自動車では、いい意味でクルマ過ぎない提案も多いと思います。その点も含め、他社さんとは違うと感じていますね」 ──現場でもそうした意識があったんですね。本日はありがとうございました。
すぎもと たかよし