梅枝から時蔵へ! 六月歌舞伎座・襲名披露でさらなる高みへ!
襲名の場合、名前はどのタイミングで変わるの?「かつては『顔寄せ』と言って、稽古が始まる前に俳優や関係者が一堂に集まる儀式がありました。演目などを読みあげて、最後に全員で手打ち(手締め)をするんですね。襲名の場合は手打ちから名前が変わるということなのですが、今回は顔寄せがないので、稽古初日の5月28日から『時蔵』かな」とのことでした。
部長 実際、梅枝から時蔵に変わると、何が変わりますか。 時蔵 僕自身はあまり変化がなくても、お客さまの見る目は変わると思うので、名前負けしないような芸というものが確実に求められると思います。これまでは、梅枝だから、若手だからということで許されていたことがけっこうあると思うんですけれど、時蔵という名前になると、やはり重みが違うので半端なことはできなくなりますね。 部長 プレッシャーが大きくなりそうですね。 時蔵 とくに僕の中で「時蔵」としての一番大きな役者は、やはり曾祖父の三代目の時蔵なんですね。三代目は映像で残っているものは少ししかないんですけれど、その少しのものを観ても「この人、すごいな」と思うくらい素晴らしいんです。義太夫狂言などに対して、とても理解が深くて、セリフ回しひとつとってもそれがよくわかります。そのテンポとか、間というものは、今の我々にはとても真似できないようなレベルの芸なんですね。 もちろんその時代、その時代にあったスピード感というのは絶対にあるので、曾祖父と同じことをやればいいということではないのですが、もっと勉強して技術を身につければ、あの時代に曾祖父を見て、お客さまが感動してくださったのと同じ感動を今のお客さまにも古典を通して、お伝えすることもできるのかなと思っています。古典を中心に出ている僕としては、そういう使命感を持って舞台に立っています。 小僧 さすがです! 偉大な名前を継ぐことで、もっともっと大きな俳優になっていかれるんでしょうね。で、ご相談ですが、新 時蔵さんは、なんてお呼びすればいいでしょうか。 時蔵 (尾上)松緑のお兄さんなんかは、父のことを「ときさん」って言うんですよ。だから「ときちゃん」あたりですかねぇ。あとはトッキーとか。 小僧 風の便りに松也さんの「マッティ」にちなんで、「トッティ」という案もあると聞きました。 時蔵 トッティも全然ありです(笑)。「時蔵」って、ちょっと古風なイメージがあるので、トッティとして、より親しみやすい時蔵を目指したいと思います。