米国経済の「ゴルディロックス」は維持可能か? マクロ経済シナリオの変調に警戒するマルチ・アセット戦略
イーストスプリングでは過去50年間にFRBが積極的な利上げサイクルを開始した9回のうち、5回は「ハードランディング」、2回が「ソフトランディング」となり、利上げ後も経済成長が比較的堅調だった2015年から2018年にかけての1回だけで、この時にはその後のコロナ・パンデミックで大きな景気後退に陥ったという経験則に照らしても「FRBが『ノーランディング』のシナリオを実現できる可能性は低いと考えている」。「現在の米国の金融政策の波及経路は断絶しているのではなく、実体経済にその影響が現れるのが遅れているものと考えている」としている。とはいえ、「投資家としては、データを重視し機敏に行動し、柔軟な見解を持つことが不可欠」と指摘する。
現時点でのデータは、新規雇用者数、家計貯蓄率の動向、賃金上昇率などの主要データは成長が再加速する一方、インフレ率は低下するという「ゴルディロックス」のシナリオを指している。その場合、企業収益への期待が高まり株高が見通されることになる。ただし、成長かインフレのいずれかの要因が修正され、現在の「ゴルディロックス」(高成長・低インフレ)の状況が「低成長・低インフレ」、あるいは、「低成長・高インフレ」の状況にシフトすれば、株安に転じることも十分にあり得る。「どのようなマクロ経済シナリオが展開されるかが、今後数カ月のアセットアロケーションの軌道を左右する」として、今後の行方を決して決めつけることなく、柔軟に対応できることが重要だと強調している。(イメージ写真提供:123RF)
ウエルスアドバイザー