「キーが打てない!」30代男性を襲った“まさかの病” 体験者は反省「安易な自己診断と思い込みには注意を」
■総合診療医・菊池医師の見解は? 総合診療医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「帯状疱疹は発疹が出るまで、確定診断ができない病気です。このため、この男性のようなことが少なからず、起こりうる」と言う。 帯状疱疹は「水疱瘡(みずぼうそう)」を引き起こすウイルス、「水痘・帯状疱疹ウイルス」が活性化することで発症する皮膚の病気だ。 「初めて水疱瘡にかかった後、症状が治まってもウイルスは完全に除去されるわけではなく、実は神経細胞に棲み着いて残っています。加齢や過労、ストレスなどで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが活性化し、病気を引き起こすのです」(菊池医師)
特徴は赤い発疹だが、最初は痛みやしびれ、かゆみなどの症状から始まることも多い。初期は狭い範囲にとどまり痛みも激しくないが、数日のうちに範囲が広がり、発疹は水ぶくれ状に。痛みも強くなることがある。 「『胸の前や横』『背中(肋骨に沿って出る)』『顔の三叉(さんさ)神経の第1枝(おでこから目までの部位)』ができやすい部位です。ただし、神経の通っている部分であれば、どこに出てもおかしくない」(菊池医師)
また、通常は体の片側に出るが、まれに両側に出ることも。離れた2カ所に出るケースもある。顔にできると失明や難聴、顔面神経マヒの合併症が起こることがあるため、入院治療が必要になることも多い。 重症化予防のためには早期発見、早期治療が重要。とはいえ、早すぎると、杉山さんのように的確な診断がつけてもらえないこともある。 症状の出方や感じ方は個人差が大きい。背中など自分では見えない場所にできることもあるので、家族がいる場合は、一緒に観察をしてもらうといいだろう。
■“高齢者の病気”というのは誤り 「疑わしい症状が出たら、以後、毎日、観察を続けること。皮膚にわずかでも異変が見られたら、すぐに皮膚科や総合診療科などを受診しましょう」(菊池医師) 帯状疱疹の予防策として、菊池医師は「疲れやストレスをためない」「十分な睡眠をとり、ストレス発散を上手に行う」「バランスのとれた食事を摂る(たんぱく質を多く、糖質・脂質を控えめにすることを意識する)」「糖尿病を持っている場合は、血糖のコントロールをする」ことを挙げる。