「キーが打てない!」30代男性を襲った“まさかの病” 体験者は反省「安易な自己診断と思い込みには注意を」
と指摘したという。 杉山さんは神経の痛みを改善する内服薬を処方してもらい、クリニックを後にした。 しかし、薬を飲んで3日ほど経っても、症状はよくならない。それどころかしびれは増し、指は曲がりにくくなっているようにさえ感じた。 いよいよキーボードがまともに打てなくなり、「あの医者の診断は本当に合っていたのかな?」と、不安でたまらなくなってきた頃、ある変化が体に起こった。 「問題の指側、つまり右側の二の腕あたりに、『ブツブツ』と、ほんのり赤いふくらみができ始めたのです」(杉山さん)
「これは尺骨神経マヒではない!」 そう確信した杉山さんだったが、さて、どの診療科を受診すればいいかわからない。迷った末、皮膚に症状が出ていることから、皮膚科に行ってみることにした。 結果、皮膚科医は腕のブツブツを見るなり、「あっ、これ帯状疱疹ですね」。まさかの病名を告げられた杉山さんは、「えぇーっ?」と心の中で叫んだという。 そう、手指のしびれや動かしにくさの原因は、尺骨神経マヒなどではなく、帯状疱疹の初期症状だったのだ。杉山さんは帯状疱疹について、ある程度、知っていたつもりだったが、自身の症状がその病気とはつゆほども疑わなかったという。
「帯状疱疹は『高齢者の病気』という思い込みもありました」(杉山さん) 幸いにも、早期に皮膚科を受診したことは大正解だった。帯状疱疹の治療薬である抗ウイルス薬を服用すると、腕のブツブツはまもなく消え、手指の症状も2週間後には完全になくなった。 杉山さんは自戒の念を込めて、こう振り返る。 「この話を友人にすると、みんな最初に診てくれた整形外科医の誤診を批判します。でも、一番の問題は、『この症状は100%尺骨神経マヒだ』と思い込んでしまった自分にあります。ネット検索は便利ですが、安易な自己診断と思い込みには注意しようと、心に誓いました」