ノーザンテーストのリーディングは「10回」「11年連続」のどっち? 見解分かれる要因は1989年にあり
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【バステッド】 3歳時にアイルランドでガリニュールSを勝ったものの、取り立てて目立つところのない馬でした。しかし、4歳を迎えて転厩すると一変。コロネーションS、エクリプスS、キングジョージVI世&クイーンエリザベスS、フォワ賞と4連勝。残念ながら故障を発症し、凱旋門賞制覇の夢を果たせぬまま引退しました。 イタリアの天才馬産家フェデリコ・テシオが生産したドナテッロは、イギリスで種牡馬生活を送り、アリシドン、クレペロという2頭の大物を送り出しました。バステッドは後者の仔で、この系統らしいスタミナ、切れ味、成長力を伝える種牡馬となりました。 日本ではディープインパクトの2代母の父として知られています。バステッドの特長はディープインパクトの個性の一部となり、その子孫に脈々と受け継がれています。 ◆血統に関する疑問にズバリ回答! 「ノーザンテーストのリーディングサイアー回数は?」 資料によって「10回」「11年連続」と回数に違いがある、というご指摘です。結論から申し上げればどちらも間違いではありません。「10回」というのは中央と地方を合算した総合リーディングサイアーの回数。一方、「11年連続」は中央のみを集計したものです。 この食い違いが起こった原因は1989年の成績にあります。この年、地方競馬でミルジョージ産駒のロジータ、ホウニンメゴヒメ、ダイタクジーニアス、シナノジョージなどが大活躍。中央のみの集計ではノーザンテーストがトップとなったものの、中央と地方を合算するとミルジョージが上回りました。 一国のランキング、という観点では合算したものが正しいのではないか、というのが個人的な見解です。