津波想定、防災訓練に千人 ドローン偵察や洋上での物資輸送 奄美大島瀬戸内町
5日の「津波防災の日」を前に、鹿児島県奄美大島の瀬戸内町で3日、総合防災訓練が行われた。住民約700人と消防や警察、自衛隊など約10機関・団体の関係者約300人が参加。情報収集や避難誘導、救出救護などの応急活動のほか、二次離島である与路島への災害対処部隊の搬送やドローンによる被害地域の偵察などの訓練も初めて実施された。 昨年6月に計画されていた同訓練は台風で中止(一部関係者のみ実施)となったため、町全域での実施は2年ぶり。想定は、午前9時ごろに奄美大島近海を震源とする地震が発生し、同町で震度6弱を観測。気象庁が「大津波警報」を発令、約6メートルの高さの津波が推定され、町は防災行政無線などで「避難指示」を呼び掛けるというシナリオ。 午前9時5分、同町役場に災害対策本部が設置され、総務対策部から防災無線やエリアメール、SNS(インターネット交流サイト)で「避難指示」を受けた住民らは、経路や所要時間などを確認しながら最寄りの高台へ歩いて避難。与路島には消防艇が入り、職員らが要援護者の避難支援に当たったほか、自主防災組織の強化を目的とした一次救命処置(心肺蘇生法)の講話や消防ポンプ積載車による消火活動などが住民を交えて行われた。
また、道路が寸断された能登半島地震の教訓を生かし、瀬戸内分屯地隊員約20人による分屯地から役場まで徒歩での物資輸送をはじめ、古仁屋港沖で第三セクターの貨物船「天長丸」、海上保安部の巡視船「いそなみ」、自衛隊が連携した洋上での積み荷輸送「瀬取り」の横付け、「奄美アイランドドローン」による空中偵察や物品輸送の訓練などが展開された。 訓練後には関係者による事後研究会が開かれ、成果や課題、所見などを共有。本部長の鎌田愛人町長は「瀬戸内町は防災関係機関が充実しており、どのように生かすかが課題。役場内の体制強化と住民の防災意識向上を図り、町民の安心安全につながる災害に強い町づくりに向け、今後も関係機関等と連携しなが訓練実施に努めたい」と総評した。