60歳会社員です。65歳で定年ですが、夫婦の「年金約25万円」で暮らしていけますか?年金暮らし世帯の生活費の目安を教えてください
定年後の収入は一般的に年金だけになります。人生100年時代、年金だけで暮らしていけるのか不安な方は多いのではないでしょうか。年金暮らし世帯の平均的な年金や生活費について知り、あなた自身の家計を考える参考にしましょう。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
統計で見る夫婦高齢者無職世帯の家計収支
総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」の、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支を見てみましょう。 実収入(主に年金)が24万6237円(可処分所得 21万4426円)、消費支出は23万6696円となっています。つまり、毎月2万2270円(可処分所得-消費支出)の赤字です。この赤字は貯蓄から補てんしています。 実収入の約9割は年金などの社会保障給付です。この実収入から非消費支出(税金・社会保険料)を差しい引いたのが可処分所得です。 消費支出(生活費)の内訳を見ると、食料(28.6%)、住居(6.6%)、光熱・水道(9.6%)、家具・家事用品(4.4%)、被服および履物(2.1%)、保健医療(6.6%)、交通・通信(12.2%)、教養娯楽(9.0%)などとなっています。
年金で足りない分は30年間で800万円
前述のとおり、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支は、毎月2万2270円の赤字になることが予想されます。年間26万7240円、30年間では801万7200円が不足することになります。つまり、年金だけで老後を安心して暮らすことは難しそうです。 なお、データの消費支出については、老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用などの特別な支出を含んでいないことに注意してください。これら特別な支出を別途用意する必要があります。 また、今後はインフレ率も考慮に入れることが大切です。65歳時の800万円と30年後の800万円とはお金の価値が違うからです。 インフレが続けば、お金の価値は下がります。たとえば、平均インフレ率が2%と仮定すると、30年後の元本の実質的価値は約442万円です。インフレを考慮すると65歳以降に運用しないと仮定した場合、65歳時に約1449万円の金融資産を用意しておく必要があります。 ただし、同調査年報(貯蓄・負債編)によると65歳以上世帯のうち「2人以上世帯」の貯蓄額平均は2359万円となっていますので、平均的には、そんなに心配する必要はないかもしれません。