キャベツが「高級食材」に 1玉598円の衝撃 農家では深刻な人手不足で外国人が“参入”
輸送コスト増で赤字寸前
地元農協関係者が生産現場の事情をこう明かす。 「キャベツの高騰で農家は儲かっているように思われていますが、出荷量自体少ないのでそれほど収益は出ていません。輸送コストも増える一方で赤字寸前です。それもあってキャベツ栽培をやめる農家が目立ってきました。それを埋めているのがベトナム人、そして最近やってきたミャンマー人、インドネシア人の労働者です。とはいえキャベツは収穫する際、しゃがみながら包丁でひとつひとつ切るので大変な作業です。コロナの頃、外国人労働者が来日できず困っていたところ、仕事を失った地元のホテル従業員がキャベツ畑の収穫を手伝いましたが、すぐに音(ね)をあげて箱詰めだけをしました」 確かに大きく育ったキャベツはずっしりと重く、持ち運びに一苦労する。地元農協関係者はキャベツ農家の生活サイクルの苦労についてもこう言及した。 「キャベツ農家は早朝というか深夜2時、3時から畑に出てキャベツを切り、午前6時頃から搬出を始めます。その後、苗を植えたり畑を耕したり、お昼ごはんを食べて昼寝をしてからまた畑に戻って農作業を再開し午後6時頃、夕飯を食べて同8時頃に就寝、というパターンが多いです。体力的に相当きつい仕事というほかありません」 野菜の高騰に苦しむ地元レストラン経営者が嘆くことしきり。 「キャベツ以前に円安のためすべての食材が値上がりしています。食材の値段が上がると消費税も上がるわけですので、いずれメニューを値上げしなければなりませんが、値上げするとお客様がガクンと減るので値上げしたくても簡単にはいきません。飲食店経営者はみな慎重ですよ」 農業従事者の不足や円安による輸送コストの上昇が続く限り、キャベツ価格の高止まりは当分続くという。残るは異常気象が繰り返されないよう天に祈るのみか……。 デイリー新潮編集部
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