スタバで「フラペチーノ」飲む人が知らない“真実” コーヒーにこだわっているはずのスターバックスが「コーヒーじゃない看板商品」を持つ凄さとは?
日本で3番目に多い飲食チェーンなのに、令和の今もわれわれ消費者に特別な高揚感を与えてくれるスタバ。 ブランディングやマーケティングから見ても、一貫した理念や戦略があるように思えるが、実は「コーヒーを大切にしてきた歴史がある一方で、人気商品は、コーヒーとは正反対にも思えるフラペチーノである」など、矛盾とも思える部分も少なくない。 しかし、この「矛盾」こそが、スタバを「特別な場所」にしてきたのかもしれないーー。 【グラフ】キレイな右肩上がりを続ける「スタバ店舗数」の推移
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』などの著作を持つ気鋭のチェーンストア研究家・谷頭和希氏による短期連載の第1回。 【東洋経済オンラインで2023年12月30日に公開した記事の再配信です】 ■なぜ、スタバだけがこうも「特別」なのか? 出先でちょっと時間が空いた時。少しだけ贅沢したい時。あるいは日常の喧騒から離れて一休みしたい時。そんなときに人はふと、スターバックスに足を運んでしまうのではないだろうか。
スターバックス。今や全世界に3万店舗近くを構え、日本でも1800を超える店舗を持つ一大カフェチェーンだ。 しかし、ふと、筆者はこう考えてしまう。 なぜ、スタバだけが、と。 日本、いや、世界にカフェチェーンはいくらでもある。そんななか、人はスターバックスについてなにやら特別なイメージを持っている。マーケティング的にいうなら、スタバは「ブランディング」に成功している。 スタバを象徴するあのロゴ(と言っただけで思い浮かべられるだろう)があるだけで、どこか、テンションが上がるのだ。逆にそのロゴを見て「なんかシャラくさいな」と思ってそこを避ける人もいるだろう。しかしそれだって、ある意味ではスタバに特別な意味合いを見いだしているということだ。
考えてみてほしい。ほかのカフェチェーンでこのように特別なイメージを見いだせる店があるだろうか。そもそもチェーンストアは、「そこだから行く」店ではなく、「そこでいいから行く」店だろう。わざわざチェーンストアに好んで行く人はあまりいない。カフェチェーンだって同じである。街にたまたまあって、たまたま時間を潰したいから、なんとなく入るのである。 でも、 「スタバに行きたい」 という言葉を、人は変だと思わない。スタバには、そう思わせるだけの「特別感」があるからだ。