債券予想精度トップの2人、見通し別れる-米市場の不確実性浮き彫り
(ブルームバーグ): アンシュル・プラダン、スティーブン・スタンレー両氏はともに、米国債市場の現在の状態を予見していた。しかし、今後については意見が一致していない。
バークレイズ・キャピタルの米金利戦略責任者のプラダン氏と、サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スタンレー氏は、ブルームバーグの調査に答えたウォール街の債券予測専門家で、今年これまでについて最も正確な2人だ。
それぞれが1-3月(第1四半期)中に米国債利回りがどの程度上昇するかをほぼ正しく予測。また、インフレ高止まりが米連邦準備制度理事会(FRB)の手を縛り、政策金利が6月末まで据え置かれると予想し、他の専門家とは一線を画していた。
しかし今、両氏の見解は異なっている。
プラダン氏によれば、現在4.5%前後の米10年物国債利回りは米経済が力強く成長し続けるにつれて上昇し、昨年10月につけた16年ぶり高水準の5%を再び試す可能性がある。一方スタンレー氏は、債券市場は曲がり角にきていると言う。10年債利回りは6月まで横ばいとなった後、12月には4%まで低下すると予想している。FRBが年内に利下げを始める余地があるとみているからだ。
こうした両者の見解の相違は、過去40年で最も積極的な利上げサイクル終了から10カ月後の今も、不確実性が金融市場を支配していることを浮き彫りにする。
昨年終盤にトレーダーらは、FRBが今年中に大幅な利下げを実施するだろうと確信していた。しかし、驚くほど底堅い経済と頑強に高止まりしているインフレによって、その予想は覆され、債券利回りは再び上昇し株式市場の足かせとなっている。
現在の議論の焦点は、今後は債券相場が反発するのか、それとも政策当局が利下げをせず市場を失望させた場合、債券が再び下落するのか、という点だ。先週終わりには雇用者数の伸びが鈍化し失業率が上昇したことで年内緩和への期待が高まり、債券は上昇した。