プライベートクレジット、米利下げ開始で逆風強まる-リスク山積
プレキンのリサーチインサイツ部門責任者キャメロン・ジョイス氏は「原油価格の低迷が長引けば、この地域の機関投資家がプライベート市場に資本を投入するペースに影響が出ることは避けられない」と予想。一方、プライベートクレジットへの資金配分は多くが長期目標を下回っているため、依然として需要はあるとの見方も示した。
金利低下のプラス面は、資本投下の機会が増える可能性だ。デフォルト(債務不履行)の広がりを招かないソフトランディングは、M&Aを活発化させる。
ただ、プライベートクレジットが買収ビジネスに参入したことで、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど投資銀行にとって長年利益の源泉であった仕事を奪い返そうと、案件の獲得競争が激化している。
監視強化
規制分野では、主要国・地域の中央銀行や金融監督当局、財務省などで構成する金融安定理事会(FSB)がシャドーバンキング(影の銀行)に関するより広範な調査の一環として、プライベート市場がどのような影響を与えるかを調べている。
欧州中央銀行(ECB)は大手銀行に対して、プライベートクレジット企業およびそのファンドへのエクスポージャーの詳細開示を要求しており、日本銀行もまた、その関連性を注視。
日銀の高口博英理事はユーロフィ誌に寄稿し、「日本の金融機関によるグローバルなプライベートクレジットファンドへのエクスポージャーは増加しており、一部大手への集中が見られる」と指摘。システム全体への影響に触れ、「われわれは警戒を怠ってはならない」と呼びかけた。
原題:Private Credit Is Being Threatened by a Cocktail of Risks (抜粋)
--取材協力:Laura Noonan、David Ramli.
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Neil Callanan, Scott Carpenter, Silas Brown