プライベートクレジット、米利下げ開始で逆風強まる-リスク山積
(ブルームバーグ): 金利上昇が投資家にとって変動金利の債務をより魅力的にし、プライベートクレジットは2019年から規模が倍以上に拡大した。だが今、米連邦準備制度の利下げ開始で1兆7000億ドル(約243兆円)規模の業界への逆風が強まっている。
米利下げで、投資家にはリターンが確定される債券の方が変動金利よりも魅力的になる。米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内の追加緩和を想定しているため、プライベートクレジットにとってより差し迫った問題だ。
規制当局は何らかの危機発生時に銀行が巻き込まれるリスクを懸念。プライベートクレジットのマネジャーに融資を行い、投資家からのコミットメントをさらに膨らませている銀行に狙いを定めている。
資金調達面では、機関投資家からの資本投入は横ばい状態にあるが、原油安は中東からの投資に影響を及ぼし得る。米国の新たな規制措置は保険会社がこの資産クラスに投資することを難しくする可能性がある。
プライベートクレジットを巡り、こうしたさまざまなリスクが積み上がっているが、もう一つの大きな潜在的脅威は米国のリセッション(景気後退)だ。
中心シナリオはソフトランディングだが、深刻なリセッションとなれば、問題が生じる。資金調達の待機組を圧迫し、企業の合併・買収(M&A)意欲を減退させ、借り手の返済不能リスクを高める。
デビッドソン・ケンプナー・キャピタル・マネジメントの共同副マネジングパートナー、パトリック・デニス氏は19日のミルケン研究所アジア・サミットで、コベナンツ条項違反などでプライベートクレジットのデフォルト率が約3-5%になっていると述べ、「われわれが評価しようとしている市場における最大のリスク」との考えを示した。
オイルマネー
プライベート市場のファンドマネジャーはここ数年、運用資金を増やそうと中東に殺到してきた。だが、原油価格がさらに下がりを続けるようであれば、そうした取り組みはより困難になる恐れがある。