トマトとミニトマトの「健康コスパ」はどちらが優秀?「安いから」で後悔しない食品選びの新基準
「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉だ。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいう。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなった。『ウェルビーイングの新潮流』第13回では、注目されてきている「健康コスパ」について考えます。 ● 食品を購入する際に選ぶ基準は? あらゆる食品がどんどん値上がりしている昨今。みなさんは食品を購入する際、何を基準に選んでいますか? 価格ですか? 手に入れやすさですか? おいしさですか?それらとは別に、もうひとつ重要なのが「食品に含まれている栄養素や成分の働きによる健康効果」です。 コロナ禍による環境の変化などで健康意識が高まり「同じ価格や似たような食品なら、できるだけ体に良いものを選びたい」といのニーズが高まっています。そんな時代背景もあり、今「健康を軸にしてコストパフォーマンスを見ていこう」という「健康コスパ」が注目されています。 その食品にどのような栄養素がどのくらい含まれており、得られる価値やメリットがどのくらいあるのかを、食品の選択基準にしようという考え方です。例えば、「木綿豆腐」と「絹ごし豆腐」、「サラダ菜」と「レタス」のように、同じような価格帯で似たような食材の場合、どちらの方が栄養価が高く効率よく健康を手に入れられるかが、健康コスパの判断軸になります。 食品の健康コスパを知ると、体への健康効果を考えながら、自分に合った食品を選ぶことができるようになります。さらには健康知識が増えるきっかけになるだけでなく、自分や家族の健康、体調管理にも直接つながっていきます。
● 8割近くの人が 「価格」を基準に食料品を選ぶ 一般社団法人ウェルネス総合研究所では2024年6月、全国の20代~60代の男女500人を対象に「食材選びに関する実態調査」を実施しました。本調査では、食材を購入する際、何を基準に選んでいるかの実態をひも解くほか、健康を軸にしてコストパフォーマンスをみる健康コスパという考え方についてどう思うかなどが質問されています。 今回の調査結果から、約7割もの人が食事づくりのための買い物を負担に感じており、約8割は食材を選ぶ際「価格」を重視していることが明らかになりました。 まず、「日々の食事づくりのための買い物を負担に感じているか」という質問には、7割近くの人が「負担に感じている」と回答しました。さらに「買い物をする際、どのような基準で食材を選んでいるか」という質問には、約8割が「価格」と回答。次いで「新鮮さ」「使い勝手が良い」が挙がる結果でした。値上げが続く中「価格」はやはり重要ポイントになっていることが伺えます。 「食材を選ぶ際の新しい基準として、健康コスパの考え方を知り、取り入れたいと感じたいか」という質問には、約8割が「取り入れたい」と回答。取り入れるメリットとして、「より健康になれる」「食材が決めやすくなる」「家族の健康維持に自信が持てる」が上位に挙がる結果となりました。 今回の調査結果では、昨今の値上がりラッシュもあり、経済的なパフォーマンスである「コスパ」が重要視されていることが明らかになりました。また、最近は若年層を中心に時短につながる「タイパ」という言葉も浸透し、「コスパ」と「タイパ」で判断してしまう人が多いようです。しかし、安いという基準だけで選ぶと栄養素的には足りないものが出てきてしまい、食卓も単調になってしまいます。 そこで「健康コスパ」という考え方に専門家が注目し始めているのです。 健康コスパを取り入れたいと回答した人に、身近な食材のうち「どちらが健康コスパが高いか」について詳しく知りたいものを聞いたところ、1位「ヨーグルト」(乳酸菌ヨーグルト・ビフィズス菌ヨーグルト)、2位「豆腐」(木綿豆腐・絹ごし豆腐)、3位「トマト」(トマト・ミニトマト)、4位「魚缶」(ツナ缶・サバ缶)、5位「食用油」(エクストラバージンオリーブオイル・ごま油)という結果になりました。