「お金で人は幸せになれない」成功者の超本音 「1億円を拾うかどうか」がストレス化する日常
けんすう:それ、たぶんそうそうできないと思いますよ。お金ってパワーじゃないですか。このパワーは使うと減るんです。たとえば100億円の貯金が95億円に減ったとすると、「まだ95億円もある」みたいには思えなくて、「5%も減ってしまった」とうつになる。なぜならその調子で使っていったら、絶対にゼロになるってわかるから。 箕輪:なるほど。金額よりも、上向きか下向きかっていうベクトルの向きが重要なのか。 けんすう:そうそう。結果、お金持ちがお金を使えなくなるっていうジレンマが生まれちゃうんですよ。ただ、やっぱり「持っていてもしょうがない」という気持ちも生まれるので、じゃあ、何に使うのっていうと、もう人のために使うくらいしか思いつかなくなる。お金持ちがなにか財団をつくって慈善事業を始めるのは、そういうことだと思います。消費ではお金というパワーが減るだけだけど、いいことに使えば「社会の富」が増えるっていう感覚になれるから、たぶん使えるんですよね。
■お金以外の理由で働けることが「幸せ」 箕輪:無作為に人に配るだけじゃ、その感覚にはなれないか。たしかに、何かしらの相乗効果がないと時間もお金も使えない。まさに「人の幸せとは……?」ですね。僕のまわりを見ていても、もはやお金じゃない理由で働いている人ばかりですよ。世の中よくしたいんだな、みんな。 けんすう:そういう目的でもないと、もうがんばれない。だから、漫画とか海外ドラマでよく見る、超お金持ちの人がデスゲームを仕掛けるみたいなストーリーって、たぶん現実にはありえなくて、逆方向に行くでしょうね。めちゃくちゃ非道なことをするのではなく、めちゃくちゃいいことをしないと欲望が満たされなくなるんじゃないかな。
箕輪:それはありますね。僕は別にお金持ちじゃないけど、目標のメモには「目の前の仕事と関わった人を大切にするのが一番リターンは大きい」って書いてある。そうなっていきますよね、最終的には。 けんすう:わかります。僕も、常に目標のトップにあるのは「人に優しくする」こと。なるべくいろんな人に優しくしようと思ってますね。箕輪さんと話してみても思ったけど、結局、やらなくちゃいけないことも、さも事もなげに自分をコントロールしてやる人が成功するし、そうして富を積み上げた先に行き着くのは「人に優しく」なんだな。
(第4回終わり) (構成:福島結実子)
けんすう :起業家、投資家/箕輪 厚介 :編集者