遅刻を繰り返す部下に「いつも遅刻しているけど」はNG。発達障害グレーゾーンの部下にしたい上司のマネジメント術
“苦手で難しいこと”があるのは同じ
ただ、発達の問題で苦しんでいるのはどちらも同じ。発達障害には次のような“苦手で難しいこと”があるが、グレーゾーンであっても同じように苦しんでいるという。 【ADHD】(注意欠如・多動性障害) ・不注意が多い、忘れっぽく集中できない ・多動性があり、じっとしていられない ・衝動性があり、考える前に行動してしまう 【ASD】(自閉症スペクトラム障害) ・言葉や視線、表情、身振りなどでのコミュニケーションが苦手 ・他人への興味が薄く、気持ちや状況を理解することが苦手 ・特定の事に強い関心やこだわりがある ・音やにおいなど、感覚の過敏さがある 【LD】(学習障害) ・文字や文章を読み、意味を理解するのが難しい ・文字を書くのが難しい、時間がかかる ・計算や推論をすることが難しい
「職場に言えない」生きづらさ
グレーゾーンはこうした“苦手で難しいこと”があっても、「発達障害」と診断されたわけではないので、周囲に打ち明けにくい。また、社会に出てから気づくこともあるため、職場で言えなかったりすることも多いという。 社会に無理に適応しようとして、心身が疲弊してしまうことも。「うつ病・不安症・依存症」などの二次障害を発症することもあるそうだ。 「グレーゾーンは努力をしているのに周囲に理解されにくい、配慮されにくいところがあります。そういう意味では、発達障害とは違った苦しみかもしれません」 グレーゾーンは得意分野だと、突出したスキルやアイデア、集中力などを発揮することもあるそうだ。職場としてそんな部下をサポートしたいところだが、接し方のポイントはあるのだろうか。
一緒に解決する姿勢が大切
部下がグレーゾーンかもしれない場合、上司はまず、特有のつらさがあり、それによって「不安や悩みを抱えているかもしれない」と想像してみてほしいという。 同僚の前で注意して自己肯定感を下げる、感情的に怒るのはNG。本人や周囲に「グレーゾーンかもしれない」などと、言ったりするのはもってのほかだ。 直してほしいことがあるなら、まずはその原因をヒアリングしてみる。その上で、一緒に解決する姿勢を示しつつ「どうしてほしいか」を伝えてほしいと、舟木さんはアドバイスする。 そこでのコツは客観的なデータを示すことだ。グレーゾーンの人たちは、どうしても「相手の立場で考える」といった、想像力が働きにくいこともある。 例えば、遅刻が目立つ部下に、自分の感覚で「いつも遅刻しているけど」と言っても、部下が想像する“いつも”と違い、不満につながることもあるのだ。 「勤怠表などを示して『何日中、何日がこういう状態』と事実に沿って伝える。そして『どういう風に解決していこうか』などと、プラスアルファで提案をする。確認作業のような形で考えるとよいでしょう」