超高級車の華麗なる進化は凄かった 新型ベントレーコンチネンタルGTの奥深さとは?
新しいベントレー「コンチネンタルGT」に、大谷達也がスイスで試乗した。ウルトラ・ラグジュアリーの進化に迫る。 【写真を見る】超優雅な新型コンチネンタルGTの内外装(56枚)
エクステリアとパワートレインのアップデート
ベントレーの2ドアクーペ、コンチネンタルGTがフルモデルチェンジを受けて4代目に生まれ変わった。 今回は新型コンチネンタルGTのハイパフォーマンスバージョンである“スピード”に、スイスのリゾート地であるアンデルマット周辺で試乗したので、その模様を紹介しよう。 まず、新しいコンチネンタルGTで目を惹かれるのは、そのスタイリングだ。 長らくベントレーの代名詞ともなっていた大型の4灯式ヘッドライトが改められ、やはり大型の2灯式ヘッドライトとされたのである。ベントレーのカタログモデルが2灯式ヘッドライトを採用するのは、1959年デビューの「S2」以来という。 ちなみに、当時はライト類の性能が低かったため、光量を少しでも増やすには反射板を大きくするのが近道とされた。裏を返せば、大型ヘッドライトは高速ロングドライブを行なうグランドツアラーにとっては必要不可欠な装備だったともいえるだろう。 もっとも、カタログモデルには久々の採用となった2灯式ヘッドライトだが、少量生産されるコーチビルド・シリーズでは、2020年発表の「バカラル」、そして2022年発表の「バチュール」にも2灯式ヘッドライトは採用されていた。つまり、それらはカタログモデルに2灯式ヘッドライトを投入するための布石だったのである。 さらに、この2灯式ヘッドライトを水平に貫くようにしてデイタイムランニングライト(ベントレーはこれをアイブロー=まゆ毛と呼ぶ)を設けることで、精悍でスピード感溢れる表情を生み出している。また、フロント周りのシャットライン(ボディーパネル同士のつなぎめ)を減らしたことも、クルマ全体の彫刻的な要素を際立たせ、クオリティの高さやカタマリ感を強調するのに役立っているように思える。 メカニズムも大幅にアップデートされた。 これまでコンチネンタルGTスピードには独創的な排気量6.0リッターW12エンジンが搭載されてきたが、これが新型では排気量4.0リッターV8エンジン+モーターの、プラグイン・ハイブリッドに置き換わった。 「環境性能重視のダウンサイジングか?」と、思われるかもしれないが、少なくとも動力性能そのものはまったく“ダウンサイジング”されていない。その証拠に、新型のシステム出力は782ps、システムトルクは1000Nm(!)で、W12を搭載する従来型の635psと900Nmを大幅に凌いでいる。 この結果、0~100㎞/hの加速タイムは従来型の3.7秒から3.2秒へと格段に改善。最高速度も従来型の333km/hから335km/hに微増している。しかも、WLTPの複合燃費は従来の7.4km/Lを上回る9.7km/Lを達成。つまり、CO2排出量削減とパフォーマンス向上を同時に実現してしまったのである。