20~30代の観客が急増する理由とは? 特異な集団「唐組」という生き方<ルポ:紅テントと「特権的肉体」>
特異な集団創作の場で、彼らは何を得るのか?
舞台に立つたった2時間のために、過酷な労働に耐える唐組の役者たちは、そうやって日々自らの特権的肉体を鍛錬している。実際、彼らの体力、精神力、声量は、どこの劇団に行っても通用するだろう。何より、この特異な集団創作の場に身を置いたという経験が、彼らの唯一の背景を個性的で魅力的なものにする。 著名な劇団としては格安のチケット代で、これだけ非効率的なスタイルの活動をしている以上、全員等しく貧しいことは推して知るべし。しかし、金があっても大して必要のない広告の中の商品を買わされるより、貧しくとも同じ夢を持つ仲間と働き、自分が立つ舞台を自分の手で作ることのほうが、どれだけ生きる実感を与えてくれるか。そしてそれは将来につながる縁と、金では買えない経験をもたらしてくれる。 労働問題が複雑化し、社会全体を孤立化の波が襲っている現代にあって、唐組という生き方は、大切な示唆を与えてくれる。 【参考資料】 唐十郎『特権的肉体論』(白水社)『唐十郎血風録』(文藝春秋)『唐十郎 特別講義』(国書刊行会) 扇田昭彦『日本の現代演劇』(岩波書店)『唐十郎の劇世界』(右文書院) 『唐十郎 紅テント・ルネサンス!』(河出書房新社) 大島新『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』※映像作品 上記に加え、劇団員の久保井研氏、稲荷卓央氏のインタビュー、ほか若手劇団員との会話を参考にした
唐組・第74回公演『動物園が消える日』
【今後の公演場所・公演日程】 場所:雑司ヶ谷・鬼子母神(東京都豊島区雑司が谷3-15-20) 日程:11月1日(金)、2日(土)、3日(日)、4日(月・祝) 時間:18時30分開場/19時開演 【チケット取扱所】 唐組:03-6913-9225 イープラス:http://eplus.jp/karagumi/ シバイエンジン:https://shibai-engine.net/prism/webform.php?d=oe2d7nbo ※当日券は午後2時より受付にて発行 公式サイト:https://ameblo.jp/karagumi/entry-12861842763.html