セ・リーグの人気チームが優勝すると…「プロ野球」と「日銀短観12月調査」の意外な関連性【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
年の瀬が近づいています。今年もさまざまなニュースがありました。年末が近づくにつれ、その年1年の総評に近い情報が発表されますが、これらは景気とどのような繋がりがあるのでしょうか。本稿では景気の予告信号灯として、今年の漢字のほか「新語・流行語大賞」や「プロ野球の勝敗」を取り上げます。エコノミスト・宅森昭吉氏の解説をみていきましょう。 【早見表】毎月1万円を積み立て「預金」と「NISA」を比較…5年~40年でどれくらい差がつくか
「今年の漢字」は過去4回の選出歴を持つ“金”!選ばれたワケ
日本漢字能力検定協会は「いいじひとじ」の12月12日に毎年、その年1年の世相を表す「今年の漢字」を発表しています。一般の人が投票し、多く票を集めた漢字一文字が選ばれるものです。 「今年の漢字」はそのときどきの景気局面や経済状況を反映する傾向があります。景気がよく明るいムードが社会に満ちている年は、「愛」「安」などの明るい意味の漢字が選ばれる傾向にあります。金融不況のような景気の悪い年は「倒」「毒」などの暗い意味の漢字が選ばれる傾向にあります。 24年の「今年の漢字」は「金」になりました。「金」は5度目の選出です。前回夏のオリンピック東京大会が開催された21年『今年の漢字』も『金』でした。オリンピック・パラリンピックで日本選手が活躍し多くの金メダルを獲得したことや、大谷翔平選手がメジャーリーグを舞台にベーブ・ルース以来のリアル二刀流での大活躍でMVP獲得という金字塔を打ち立てたことなどが選ばれた理由でした。 日本漢字能力検定協会はHPに、「5回目の『金』が示す、 “光”の「金(キン)」と“影”の「金(かね)」と題して24年の今年の漢字に「金」が選ばれた理由をまとめています。 “光”の「金(キン)」の主な理由として、 1.数多くの「金」メダル獲得に沸いたパリオリンピック・パラリンピック 2.大谷翔平選手が50-50達成と3回目のMVP獲得で値千「金」の活躍 3.佐渡「金」山が日本で26件目の世界遺産に登録 4.20年ぶりに新紙幣が発行されたこと が話題になったことを挙げています。 一方、“影”の「金(かね)」の主な理由として、 1.政治とカネ・裏「金」問題などで政局が大きく変わり、衆議院議員選挙で与党過半数割れ 2.全国で闇バイトによる「金」目当ての強盗事件が多発し、多くの国民が不安に 3.物価高騰が家計を圧迫していること を挙げています。 夏のオリンピック開催年は、調査期間直前に新潟中越地震があった04年の「災」、リーマンショックがあった08年の「変」のようにショッキングな出来事が発生すると別の漢字になりますが、そうではない年は、夏のオリンピックで日本選手が活躍し多くの金メダルを獲ることは国民の大きな関心事になりやすく、開催年は、「金」が選ばれる可能性が大きいと思われます。 なお、24年の今年の漢字のランキングをみると、第3位に50-50達成と3回目のMVP受賞と大活躍だった大谷翔平選手の名前から「翔」が選ばれました。 一方、悪い意味の漢字として、正月の能登半島地震や各地の豪雨被害など天災が多かった年から「災」が第2位、「震」が第4位と上位に入りました。