<52年ぶり春・宮崎商>秋季大会回顧/上 「あきらめない」伝統体現 /宮崎
3月19日に開幕する第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)出場が決まった県立宮崎商(宮崎市)。春は52年ぶり、夏も2008年以来の甲子園に挑む。師弟対決に始まり、2度の延長サヨナラ勝ちなど激戦を制し春切符をつかんだ九州地区高校野球大会。県予選を含めた計9試合を2回に分けて振り返る。【塩月由香】 46校が参加した県予選は20年9月18日~10月13日に開催。新型コロナの影響でシード校は設けず、宮崎商も6試合を戦い抜いた。 初戦の相手は富島。率いるのは08年に宮崎商を39年ぶりの夏の甲子園に導いて1勝を挙げ、異動先の富島を廃部寸前から18年センバツに導いた宮崎商OBの浜田登監督(53)。06年に宮崎商主将として浜田監督の下で野球を学んだ現在の橋口光朗・宮崎商監督(32)は試合前「いつも通り、挑戦者の気持ちで」とナインを鼓舞。建山翔選手の犠飛で先制し、七回コールド勝ち。恩師の胸を借り、幸先良くスタートした。 次の小林西戦は一転して投手戦。両チーム無得点で迎えた延長十一回、西村太陽選手の適時内野安打でサヨナラ。「打たせて取り、打線をつなぎ点を取る」チームは勢いに乗り、3回戦と準々決勝を無失点、計26得点の連続コールドで圧勝した。 「大一番だった」と関係者が口をそろえるのが準決勝の宮崎日大戦だ。六回表までに6点を奪われ、あきらめムードが漂ってもおかしくなかったが、その裏、敵失で作った好機に西原太一選手が3点本塁打。九回に追いつき、延長十一回、渡辺龍樹選手が劇的なサヨナラ2ラン。九州大会出場を決めた。 決勝の延岡学園戦でも、初回にいきなり6点を奪われたが、直後に逆転。取りつ取られつのシーソーゲームを14―9で制した。 1919(大正8)年の学校設立(当時は宮崎町立商業学校)以来の部の伝統は「あきらめない精神」。県予選6試合はまさに部の伝統を体現した。「0―6でもひっくり返せる」。自分たちの胆力に自信をみなぎらせたチームは10月末、九州地区大会開催地の長崎に向かった。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇九州地区大会県予選◇ 1回戦 8―0 富島 2回戦 1―0 小林西 3回戦 8―0 宮崎第一 準々決勝 18―0 都城工 準決勝 8―6 宮崎日大 決勝 14―9 延岡学園 ◇九州地区大会◇ 1回戦 8-1 長崎日大 準々決勝 9―3 東明館 準決勝 0―2 福岡大大濠 ……………………………………………………………………………………………………… 守備 氏名 学年 出身中 投 日高大空 2 本庄 捕 平松諒真 2 田野 一 水谷圭佑 2 久峰 二 中野瑛二朗 2 本庄 三 渡辺龍樹 2 綾 遊◎中村碧人 2 東大宮 左 建山翔 2 久峰 中 若松大雅 2 東大宮 右 西原太一 2 久峰 外 西村太陽 2 久峰 投 長友稜太 1 住吉 捕 藤沢亮陽 2 生目 内 伊藤桔平 2 宮崎 内 梶原謙臣 2 赤江東 外 平野凜 2 檍 外 児玉純梧 2 大塚 外 宮永雅也 2 東大宮 投 下浦虎太郎 2 宮崎 部長 山口博範(61) 監督 橋口光朗(32) ※◎は主将