【Jリーグアウォーズ】MVP初受賞のFW武藤嘉紀、「苦しい経験、逃げ出したくなるような経験が強くしてくれた」
Jリーグは10日、横浜アリーナで年間表彰式「Jリーグアウォーズ」を開催し、最優秀選手賞は神戸の2連覇に大きく貢献したFW武藤嘉紀(32)が初受賞した。今季37試合出場、チーム最多13得点を挙げ、攻守の中心としてチームを引っ張った。神戸からの選出は、昨年のFW大迫勇也(34)に続いて2年連続2人目。ベストイレブンは神戸から最多の3人が選ばれた。 神戸に加入した2021年8月、武藤は「もう1度、ゴールマシンにならないといけない」と言った。慶大在学のままプロ入りした14年、FC東京で挙げた13得点が自己最多。欧州で6季過ごし、W杯にも出場したストライカーが自らのスタイルを再び追い求め、「紆余(うよ)曲折を経て、いまがある。苦しい経験、逃げ出したくなるような経験が人としてもサッカー選手としても強くしてくれた」と感慨深げに語った。 攻撃陣最多のリーグ戦37試合出場、13得点7アシストという突出した成績以上に、神戸の吉田監督は「攻守で欠かせない選手の1人」と言う。 4月の湘南戦で肋骨(ろっこつ)を骨折しながら、翌節以降もピッチに立ち続けた。総スプリント回数(時速25キロ以上で1秒以上走った回数)はリーグ4位の660回。鍛え抜いた体を張り、苦しい時も全力で走り続ける武藤の存在は、プレー強度が売りでもあるチームの根幹だった。 精神面でもチームを支え、武藤は心を鬼にして臆さず言う。「責任を持つ連鎖が、最後の最後に優勝につながる。戦えない選手は置いていく、といった気持ちでいかなきゃいけない」。常勝軍団をけん引する大黒柱。ゴールを奪い続けることで、そのプライドは輝きを増し、最高の勲章を手にした。
中日スポーツ