子どもの体調不良で休んだのに、上司から「有休の事後申請は認めない」と言われました。「どうしても申請するなら賞与を下げる」とのことですが、これって理不尽すぎませんか? 有休は「権利」ですよね?
有休は労働者の権利であり、基本的には労働者自身が取得する日を事前に決められます。とはいえ、時には子どもの急病などで「事前に有休を申請できない」場合もあります。 そのような時に、会社から有休の事後申請を認めてもらえなかったり、事後申請は求めるものの、賞与を下げるなどと言われてしまったりすることもあるかもしれません。本記事では、このような有休の事後申請について、違法かどうかを解説しています。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
有休は原則労働者が請求する時季に取得できる
原則として、会社は労働者に自社の都合を押し付け、労働者が有休を取得する日を指定することはできません。有休は労働者の権利ですので、基本的には労働者が希望する日に有休を取得できます。 ただし、有休の取得によって事業に大きな支障が出る場合、会社が時季変更権を行使して、他のタイミングに有休の時季を変更することも可能です。
有休の事後申請を認めるかどうかは会社次第
元々働く予定だった日に、急に働けなくなったため、有休を事後申請した場合はどうなるのでしょうか。有休の事後申請では会社は時季請求権を行使できないこともあり、有休の事後申請は会社として認める義務はありません。 つまり、事後に有休を申請したとしても会社はそれを拒否し、欠勤扱いにできます。しかし、有休の事後申請を全て却下していては、労働者の就労意欲低下を招きかねません。そのため有休の事後申請を運用上、認めている会社もあります。
有休を取ることで賞与を下げることは違法
有休の事後申請が認められる会社は存在しますが、これはあくまでも会社の判断であり、事後申請を認めなくても違法ではありません。 しかし、例えば「有休を取るのであれば賞与を下げる」といった行為は違法です。これは労働基準法附則136条にて「使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有休休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と記載されているためです。 また、厚生労働省のホームページ上でも、「年次有休休暇の取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことはこの規定に抵触することになりますので許されません」と記載されています。
【関連記事】
- ◆【実録】半年で使用した有給は「36日」! 休みすぎて退職に追い込まれた過酷な育児の実態と、「異次元の少子化対策」に期待すること
- ◆契約社員ですが、ボーナスは一律「3万円」です。正社員は「3ヶ月分」なのに不公平ではないですか? 仕事内容は同じです
- ◆職場は制服着用なのですが、「着替え時間」が勤務時間に含まれていません…給料を請求できますか?
- ◆看護師ですが、師長に妊娠を報告したら「育休を取るなら、復帰後は夜勤をすると念書を書くのが条件ね」と言われました…本当に書く必要があるのでしょうか? 違法なのではないですか?
- ◆お昼休みは「電話番」をしながらお弁当。これって休憩時間として「アリ」ですか? 給与は発生しないのでしょうか?