「選挙を私物化するな!」自民党内部で燻り始めた小泉進次郎氏への不満
異例の応援頻度
10月27日に投開票される『第50回衆議院議員総選挙』。選挙対策委員長に抜擢された小泉進次郎氏(43)は森山裕幹事長(79)と並んで自民党の選挙を取り仕切る役割だ。候補者選定に始まって、抜群の知名度を活かし全国各地を飛び回っている。進次郎氏の元には各地から応援要請がある最中、異例ともいえる3度も応援に入っている選挙区がある。 可愛すぎる美人秘書! 東京15区(江東区)だーー。 東京15区は“東京一カオスな選挙区”と呼ばれている。秋元司元衆議院議員(53)、柿沢未途元法務副大臣(53)と自民党の現職議員が2代続けて「政治とカネ」の不祥事で辞任。今年4月28日の補選では、自民党が候補擁立を見送ったことで過去最多の9人が立候補。政治団体『つばさの党』の陣営によるトラブルが引き起きるなか、立憲民主党の酒井菜摘氏(38)が勝利した。その騒乱の補選から半年で再び選挙となり、候補5人が20代から40代、平均年齢35.4歳とこれまでのトラブルを刷新するような“フレッシュさ”が話題となっている。 なかでも自民党候補で、NPO法人『あなたのいばしょ』理事長の大空幸星氏は25歳と最年少で、「Z世代の論客」としてメディアにも度々登場。東京都や政府の委員にも就任し、「いずれ永田町へ」と目されていた。 「当選すれば、今の国会にいない20代の国会議員の誕生になります。大空さんは『政治とカネ』の問題にまったく関係ない。自民党を変えられる、政治を変えられるように一緒に頑張りたい」 3度目の応援となる21日、進次郎氏は警視庁による厳重なガードの中、そう訴えた。15日の公示日、19日の亀戸駅前(江東区)、そして21日の大島(江東区)の団地で進次郎氏は声をからせて「なんとしても勝たせたい」と力を込めた。 大空氏も本誌に向かって意気込みをこう語った。 「『政治とカネ』の問題が続いたこの選挙区で、公募で選ばれた25歳の私が勝つことで『自民党は変わった』と示したい!」 ◆「今回はまさに盤石」 自民党派閥パーティー収入を巡る政治資金問題で逆風が止まらないなか、トラブル続きの東京15区での勝利こそが『自民党刷新の象徴』ともいえよう。そのためか、25歳のイケメン候補を抜擢し、進次郎をはじめとする自民党幹部や安倍昭恵夫人(62)らが次々と応援に駆けつけている。「今回はまさに盤石な体制で臨んでいる」とベテラン参議院議員は語り、こう続けた。 「石井準一参院国会対策委員長(66)が自身のネットワークを駆使し、スポンサーに『弁護士ドットコム』の創業者で元参議院議員の元榮太一郎氏(48)、政策ブレーンに元NHK政治部記者の岩田明子氏(55)、選挙区の案内人には元都議の山﨑一輝氏(51)らの協力を取り付けた。さらに公選法違反で辞任した木村弥生前区長(59)に友人の野田聖子元少子化担当相(64)を介し、水面下での支援を要請。進次郎氏にも『初日から応援に入れ』と号令し、『是が非でもバッジを付けさせないと自民党が変わったと思われないぞ』とハッパをかけ、異例の3度目の応援となった。党調査(16日から20日)はB評価で、『大空28.2% 酒井21.4%』と順当に差を広げている」 石井氏の指示で動くも進次郎氏にも十分なメリットがある。厳しい選挙区に進次郎氏が繰り返し応援に入り、僅差で競り勝つ、または小選挙区で敗北しても比例復活でバッジを付けられたら「応援のおかげ」と進次郎氏は一目置かれる。進次郎氏は選対委員長として身を粉にして全国の厳しい選挙区を回るほど、地方での人気も確立されよう。 ところが、その一方で、“人寄せパンダ”として全国を巡る進次郎氏にこんな疑惑の目も向けられている。 「次の総裁選に備え、選対委員長の権限を私物化しているのではないか」 公認を得られなかった元議員がそう指摘し、こう続ける。 「急転直下の解散で石破茂総理(67)は進次郎氏と森山幹事長に『女性や若い人を増やそう』と方向性を示しただけで、候補者選定の詳細は二人に委ねた。時間がないことを口実に進次郎氏はここぞとばかりに自身の知る若手経営者やNPOの関係者など“ズブの素人”へと次々と声をかけた。大手メディアは好意的に報じているが、党内では地方議員を中心に『これほど簡単に国政選挙で自民党の公認が出るとは』と驚きが広がっている。 また裏金議員が『重複立候補不可』となったために、比例名簿に記載されず、その分、比例の人数がかさ上げされ、比例復活当選する可能性が高くなっている」 地方組織の声を聞かずに公認を乱発している、と党内でも批判が絶えないという。東京6区で越智隆雄元内閣府副大臣(60)が不出馬を表明すると土屋美和都議(47)を擁立。土屋氏は進次郎氏の後見役の菅義偉元総理(75)と近いとされる。 「土屋候補は菅氏と『メル友』であることをアピールし、選挙になれば、菅事務所の秘書や菅元総理に近い横浜市議、神奈川県議が選対を担っている。また元タレントの森下千里氏(43)は比例東北の単独2位となるなど、地方の声よりも話題作りを優先したり、実情人事が横行している。 前回の総裁選で敗れた進次郎氏が捲土重来のために自身に近い議員を一人でも多く誕生させ、進次郎一派の礎とするのではないか」(同元議員) 自民党候補のうち、新人や女性が占める割合は高まった。進次郎氏の戦略通り、刷新感やフレッシュさを打ち出せたかもしれない。だが、各メディアの世論調査では自民党・石破内閣に厳しい数字がはじき出されている。裏にある進次郎氏の野望は実るのだろうか。 取材・文:岩崎大輔
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